少年シリウス2020年10月号掲載
『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』第12話の感想です。
そして、『怪物王女ナイトメア』は今月も連載おやすみでした。
次号のシリウス15周年記念号には載ってるといいなあ。
【これまでの感想】
・【漫画感想】光永康則先生の新連載『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』が始まりました。
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第2話「捜索停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第3話「武装停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第4話「小鬼停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第5話「御使停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第6話「女湯停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第7話「混沌停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第8話「王女停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第9話「領域停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第10話「姫祷停止」
・【漫画感想】『時間停止勇者 -余命3日の設定じゃ世界を救うには短すぎる-』 第11話「渡航停止」
「祝連載1周年! 天には竜、地には勇者―― 異世界で無双はサイコーだぜ!」なる、ご機嫌な煽り文句とともに始まった今回。
コミックスだと、こういった煽り文句は収録されないから寂しいですね。
マウントケープ王のお目付役である、
助言者ロヴィーサから頼まれた「屍食鬼(グール)の討伐」自体は、
いつもの時間停止行為に加え、バハムートとニーニャによる上空監視によって、わりとサクサク進んでいたのですが、
この全滅させないといけない相手の「屍食鬼(グール)」たちが、
ゲームでいうところの「無限湧き設定」であったことが発覚。
こちら側には時間停止能力があるといっても、
無限に出てくる敵を相手にし続けるのは、さすがにしんどすぎる。
勇者セカイ達は屍食鬼の発生源を断つため、
彼らの棲み処であると思われる地下水道を探っていたところ、
単独で別行動をとっていたはずの剣聖リーファさんにバッタリ遭遇するのでした。
魔法使い連盟の傀儡となったこの国の真相をさぐるために、
マウントケープ城の近くに拠点を構え、ひとり孤独な張り込み捜査をおこなっていたリーファさん。
「剣聖評議会でも最高位の千里眼の持ち主(本人談)」というだけあって、
長時間の張り込みにも耐えられるような姿勢をキープし、手の届く範囲に飲み物や食べ物が置いてあったところは、
確かに監視作業に慣れている感がうかがえます。
さらに「剣聖評議会随一の侵入の名手(本人談)」らしいリーファさんは、
その技術を生かして、本来は立ち入り禁止になっているマウントケープ城の城内にこっそりと潜入。
何かウラのありそうなキャラである助言者ロヴィーナの様子を探っていたのですが、
地下で遭遇したキメラモンスターとのバトルに気を取られすぎていたせいで、
「床が落とし穴」という古典的なトラップにまんまとひっかかり、奈落の底へ。
あとは落とされた先の地下水道をひたすらさまよっていた・・・という感じのようです。
隠密の任務ゆえ、相手に姿がバレないように着ていたと思われる
「モジモジくん」を彷彿とさせる全身黒タイツ風のコスチューム姿がちょっと面白かったのはともかくとして、
剣の達人でありながら監視作業もこなし、忍者のように潜入捜査もできちゃうリーファさんはやっぱりすごい。
ひとりでも、大体のことが出来てしまうタイプの人間だ。
普段は変な言動が多少目立ってしまうだけで、
リーファさん自身は基本的に非常に万能な人であることには間違いありません。
普段は変な言動が目立つだけで。
しかし、今回のお話は、
勇者セカイたちもそれぞれの得意分野を生かし、地下水道から城までの道を探しあてたりなど、
各個人の連係プレイが実にうまくいっていた回でもあり、普段は孤独を愛する剣聖リーファさんもその点はちゃんと認めておりました。
こうしてパーティメンバーが活躍できているのは、いかにもRPGの展開っぽくていい流れだと思います。
勇者ひとりで冒険を進めていくのもいいけど、
メンバー全員が協力しあうことで難所を切り抜けていく事も、RPGゲームの醍醐味のひとつですからね。
一方、リーファさんの猜疑の目をなんとか振り切ることのできたロヴィーサは、
いかにもなキャラデザの連中とともに「死者再生の儀式」なるものをおこなっていた。
その「死者再生の儀式」の詳細についてはまだ判明しませんでしたが、
おそらく死体を依り代にして、死者を生き返らせることで、何かをやってみたいんだと思います。(あやふや)
ロヴィーサさんが死体を生き返らせてやりたいことも、今のところ不明ですが、
自分がパッと思いついた限りだと、生き返らせた死者で軍隊を作ってどっかを攻めようとか考えているのかもしれない。
大量の死者(死霊)を動かして相手の陣地を襲う作戦は、
かつて『怪物王女』でもセブラン兄さんが似たような手を使っていた。
もしかしたら、ロヴィーサさんが蘇生させた死者を使ってベルツリー王国を乗っ取ろうとしている可能性もあるぞ。
ただ、漫画や小説におけるこの手の死者蘇生はだいたい失敗しているイメージもあるので、かなりあやしい。
『鋼の錬金術師』も、母親の人体錬成に失敗したところから物語が始まっていたりする。
フィクションの世界における死者蘇生の成功率はあまり高くないようだ。
それに、マウントケープ国で消息を絶った「剣聖マグヌス」が地下でキメラモンスターと化していたのも、
彼を依り代にした死者蘇生の失敗であんな変わり果てた姿になってしまったと思うと、だいぶツジツマがあう。
ロヴィーサが所属する「魔法使い連盟」とやらの正体、だいぶ怪しくなってきたぞ・・・。
こうして、約1ページにわたる豪快なパンチラをしながら「死者再生の儀式」を遂行するロヴィーサさん。
死者蘇生をおこなう人間にとって、パンチラなど些細なことだ!
セカイたちが城内に辿り着くのが先か、死者が再生してしまうのが先か。
物語は、次回へと続くのでありました。
次回の『時間停止勇者』が掲載されている少年シリウス11月号は、9月26日(土)発売です。
お楽しみにー。
【インフォメーション】
『時間停止勇者』の第3巻が、9月9日(水)に発売されました。
第3巻の単行本帯によると『時間停止勇者』は「ニコニコ漫画 2020年上半期ランキング」で第2位に輝いたりと、しっかりと人気を得ているようです。
この人気は、主人公である勇者セカイさんのおかげなんだろうか?
【今月の剣聖リーファさんの自己紹介まとめ】
・剣聖評議会随一の侵入の名手と云われ その業前は盗賊を超えると讃えられた私
・完璧に気配を絶てば 仮に目に見えていても見つけられない・・・ 剣聖でこの境地に達しているのはこの地上で私ただ1人だけ・・・
・剣聖評議会でも最高位の千里眼の持ち主であるこの剣聖リーファ