2022年3月12日放送分 ネタバレ注意!
ドラミのお花見メロンパン(アニメオリジナル)
シーズンにはまだ早いかもしれないけど、ドラえもん達がお花見をしに来たぞ!
おのおのが『グルメテーブルかけ』で出した好きな料理とともに、今から楽しい宴が始まるぞ・・・と思いきや、
ドラミちゃんは自身の大好物である「メロンパン」を食べないまま、どこかへ去ってしまった。
「もしかしたら、ドラミちゃんは『グルメテーブルかけ』が出したメロンパンが気に入らなかったのでは?」と考えたのび太くん達は、
みんなで最高の食材をあつめて、ドラミちゃんもびっくりするような世界一のメロンパンを作ろうとするのですが・・・。
いきなり、物語のネタバレをするようで申し訳ないですが、
自分は「たぶんドラミちゃんはダイエットがしたくて、メロンパンを食べなかっただけなんじゃないか?」と思いながらアニメを見ていたところ、
結果的には、その予想とほぼ同じような展開になっていました。
ドラミちゃんが自身の体重を「1キロ」ではなく「1ミリ」と言っていたのは、
『ションボリ、ドラえもん』の回のオマージュですね。
アニメ『ドラえもん』をン十年以上見ていると、物語のパターンもだいたい掴めてくるようになる・・・?
とはいえ、このお話の見どころの多くはオチの部分ではなく、
いつもと様子が違うドラミちゃんを心配して頑張ってくれた、のび太くんたちの美しい姿である。
メロンパンに使う食材を集めるために、『しゅみの日曜農業セット』や『スピードどけい』を使って小麦を育てたり、
のび太くんがわざわざアルプスの山のてっぺんまで行って、メロンパン用の水を汲んできたりなど、
誰かを笑顔にするために、みんながお料理づくりに励む展開は、
『映画 ザ・ドラえもんズ おかしなお菓子なオカシナナ?』のストーリーを彷彿とさせてくれます。
お花見にぴったりな「豪華丸ごとメロンパン」をはじめとする、
のび太くん達が愛情をこめて作ってくれた料理に、ドラミちゃんもいっぱい喜んでくれたぞ!
しかし、ドラミちゃんに最高のメロンパンを食べさせたいからといって、
桜の木の下に『ポップ地下室』で勝手にクッキングスタジオを作ってしまうのは、ちょっと問題のある行為な気もする。
桜の木の下に地下空間をつくったら、木々の成長に後々影響が出たりしないだろうか?
まさか、お花見会場の管理者の方も、
「ごみのポイ捨て」「酔客のドンチャン騒ぎ」などの定番マナー違反は想定できても、
「地下にクッキングスタジオをつくる」という超ド級の迷惑行為をする奴が現れるとは、夢にも思ってなかったにちがいない。
なので、現場責任者が「桜が枯れるだろ!」とのび太くん達を怒鳴りにきても、
スネ夫くんあたりが「でも、『お花見会場の地下にクッキングスタジオを作ってはいけない』なんてルール、どこにも書いてないですよね??」と強く言い張れば、うまく逃れられそうな気もする。
この様な不測すぎる事態を防止したいなら、今後、お花見会場を運営する人たちは、
『クレヨンしんちゃん』の「ママとのお約束条項」ばりに極端なルールを大量に作ったほうがいいのかもしれません。
ちなみに、記念すべき「ママとのお約束条項」第100条の内容は、
野原一家が北海道へ旅行しに行った際に生まれた「クマにサイフを渡してはいけない」でした。
22世紀の猫型ロボットに対抗するには、これぐらい意味不明なルールを作っておいたほうがいい! のか?
というわけで、一本目の感想はここまで。
ペコペコバッタ(コミックス第1巻収録)
今週の2本目は、どんな人でもペコペコと謝りたくなってしまう道具『ペコペコバッタ』が登場。
この道具をつかって、のび太くんは、
自分にサッカーボールをぶつけても全く謝罪をしないジャイアンとスネ夫を謝らせようとするのですが・・・。
原作である『ペコペコバッタ』の初出は、1970年10月号の「小学四年生」と、
1970年1月に連載が始まった『ドラえもん』のなかでも、とくに初期の作品であり、
本来この回は、ドタバタギャグが中心の、現在の『ドラえもん』とはだいぶ作風の違った内容となっております。
なので今回のアニメでは、原作からの展開をちょっとだけ変えたり、セリフの一部を改変するなど、
今の『ドラえもん』のイメージとのギャップを少なくするための工夫が多く見受けられました。
原作では、サッカーボールをぶつけられたのび太くん本人以上に怒りだす、
かなりの激情型ロボットとして描かれていたドラえもんでしたが、
今回は「どら焼きを台無しにされた」という理由づけが追加されたおかげで、ドラえもんが怒った経緯もだいぶ自然なものに。
タダシくんが首を吊ろうとするシーンも、近所のどぶ川に飛び込む展開に改変。
前科35犯のおじさんの切腹のくだりや、お巡りさんの発言も、だいぶマイルドな表現に変更することで、しっかりと今の時代にあわせていました。
あと、タダシくんの謝罪によって、芋づる式に判明してしまった、
のび太くんもカンニング野郎のひとりだったという事実も、今回のアニメでは完全に無かったことに。
アニメ『ドラえもん』は、原作回のアニメ化でも、
「時代の変化」を意識して、つねに内容をアップデートし続けているのです。
前述のとおり、タダシくんは現代のコンプライアンスを考慮して、
原作でやっていた「首つり自殺」から、近所の川への入水自殺に切り替えていましたが、
あの程度の水深&高さのドブ川じゃ、たぶん飛び込んでも死ねないと思うぞ。
せいぜい、川に飛び込んだ瞬間に体のどこかをケガしてしまうくらいが関の山かと。
人間のカラダが、あんな橋からの飛び降りで即死するような仕組みになっていたら、
阪神優勝時に道頓堀に飛び込んでいる人は、皆あそこで死んでいないとおかしくなってしまう。
タダシくんも頭がいいとはいえ、これが小学生の発想の限界か。
まあ、本当に即死できちゃうような自殺方法を思いつかなかっただけでも、不幸中の幸いだったといえましょう。
そして、今回のお話を見ていて思ったのですが、
たとえ『ペコペコバッタ』の効果で人を謝らせたとしても、それは「その人がひみつ道具に脳みそが乗っ取られているだけ」であり、
けして、本人が心の底から謝っているわけではないので、
個人的には、自分が『ペコペコバッタ』をつかって相手の謝る姿を見たとしても、100%スッキリする・・・といった感じにはならなさそうな気がします。
謝罪とは「謝ろうとする態度」ではなく、「謝ろうとする誠意」が一番大事なのである。
『ペコペコバッタ』は、心の底から謝ってほしい人に謝らせるための道具では無く、
どちらかといえば、ただ「誰かが謝る姿を見たいだけの人」向けの道具なのかもしれません。
もしもドラえもんが、現在公開中の映画『のび太の宇宙小戦争2021』のラストで、
PCIA本部内に『ペコペコバッタ』をバラまいていたら、ギルモアやドラコルルも泣いて謝罪する平和的解決になっていたのだろうか?
でも、あの映画で『ペコペコバッタ』特有の「ドタバタギャグ展開」が発生してしまった場合、
ピリカ星全体にペコペコバッタが広まってしまい、ドラえもん達どころかピリカ星人みんなが謝りはじめてしまうシュールなエンディングになってしまいそうだ。
「ピリカ星を武力で侵略しようとしてごめんなさい!」
「よく考えたけど、やっぱりひとりだけピリカ星から逃げ出してごめんなさい!」
「お喋りに夢中になってアジトを通り過ぎてしまい、ごめんなさい!」
と、ピリカ星の人たちの謝罪の言葉が響きわたる中、
スクリーンに、ピリカ星の全景と「おわり」の文字が表示されて、映画はおしまい。
これはこれで、いちおう平和的な終わり方になりそうではある。
でも、このオチを見たお客さんたちは全員気持ちが荒れてしまいそうなので、ピリカ星以外の場所が平和でなくなってしまうか。
ピリカ星だけでなく、人の心も平和にした『のび太の宇宙小戦争2021』は、やっぱりいい映画だ!
といったところで、今週のドラえもん感想は以上です。
■次回予告■
次回の放送は3月19日。
「つかめドリーム!宝星」をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(ドンジャラ村のホイ)
次回の感想:ドラえもん感想(つかめドリーム!宝星)