2022年12月10日放送分 ネタバレ注意!
リフトストック(コミックス37巻収録)
今週の一本目は、重力の方向を変えられる道具『リフトストック』によって、
あやうく転落死しかけた少年の悲劇を描いたお話です。
見た目は杖(つえ)そのものなのに、ちょっとした不注意で重篤な事故に繋がりかねない、この道具。
劇中で語られていないだけで、未来のおじいちゃんおばあちゃんがうっかり触ってケガをした・・・なんてケースも、もしかしてあるんじゃないのか?
メーカーもちゃんと対策をしておかないと、消費生活センターに厳重注意を受けかねないぞ。
のび太くんは『リフトストック』を「道をラクに歩くようにする道具」として使っていましたが、
本来は「これさえあれば、スキー場でリフトを使わなくてもいい」という用途で使うものらしい。
「重力操作」なんて、現代では実現不可能な技術を使っているわりに、使えるシチュエーションがひどく限定されすぎているところがいいですね。
スキーをやらない人にとっては、まったく必要のない道具になってしまう。
『リフトストック』は、高速道路をよく使う人にとっての、ETCみたいなポジションの道具なのかも。
そして、ドラえもんは『リフトストック』を所有しているかつ、
「これでウィンターシーズンも大丈夫だ」と、わざわざ事前のテストまでしていた。
実はドラえもんって、ウィンタースポーツが好きだったりするのか?
足の短さゆえに、ドラえもんはスキー・スノボの類を嫌悪してそうなイメージがあったけど、そうだとしたら、これは意外な趣味だ。
そんな、実はワンシーズン限定の出番しかなかった『リフトストック』に対し、
のび太くんは「歩く時にラクになる」新たな使い方を見出してくれた。
とはいえ、ずっと下り坂を歩き続けていたら、足腰が弱くなっちゃうぞ。
それに間違えて杖を傾けすぎてしまったら、前述のとおり大ケガをする恐れもある。
歩く時の負担を減らしたいのなら『らくらくとざんぼう』のほうが、安全かつ便利かもしれない。
でも『らくらくとざんぼう』の時も、ジャイアンとスネ夫が道具の使い方を良く知らなかったせいで、
傾斜が高くなった道を転げ落ちてしまう、今回とほぼ一緒のハプニングを起こしていた。
思えば『重力調節機』のときも、家の中が無重力でメチャクチャになってしまったし、
軽はずみに「重力を操作する道具」を使った時は、だいたいロクな目にあわないような気がする。
宇宙のことに詳しい藤子・F・不二雄先生も、じつは漫画を通して、
「重力操作って本当は怖いんだぞ」という教訓を、読者貴兄に伝えたかったのかもしれません。
テレビの前のみんなも、「重力」はむやみにイジっちゃダメだぞ!
原作では、色々あってのび太くんがしずかちゃんのパンツを見てしまうくだりがあったのですが、
昨今のコンプラ事情によって「道を転げ落ちて全身ドロまみれになったのび太くんをオバケと見間違えてしまう」という展開に変わっていた。
しずかちゃんが攻撃を加えた動機こそ大きく変わっていましたが、
どちらのケースでも、のび太くんは道を転げ落ちていたので、ストーリーに大きな違いはありません。
コンプライアンス強化によってしずかちゃんのパンツは守られたけど、
その結果、のび太くんが原作よりもひどい目にあっていたのは、皮肉というべきかなんというか。
なお、全体を通してでは、あまり印象に残らないくだりかもしれませんが、
暇を持て余したジャイアンとスネ夫が「剛田商店で売られているもの」限定でしりとりをしていたところが、今回のお話の中で個人的に一番好きなシーンでした。
きっと彼らは、劇中で描かれていない時も、こんな感じで毎日を過ごしているんでしょうね。
家で1人でいるよりも、せっかくなら2人でいたほうが楽しいだろうと、外でいっしょに過ごす。
ちなみに、彼らのしりとりによると、
「トイレットペーパー」「厚揚げ」「下駄」「たわし」「塩昆布」は、剛田商店で売られているもので、
「ブラウニー」は、剛田商店で売られていないものらしい。
相変わらず、どういう商売をしているのかがサッパリわからない店だ!
たわしやトイレットペーパーはともかくとして、今どき「下駄」って売れるのか?
というわけで、一本目の感想はここまで。
バトンタッチでおまかせ!自動返送荷札(コミックス34巻収録)
二本目は、なんでも返送してくれる『自動返送荷札』が登場!
スネ夫から借りたマンガ本からゴルフバッグ、果ては迷子の女の子まで。
この道具さえあれば、どんな荷物でも返送してくれるぞ!!
そして、このお話を見終わったあとに、
「『どこでもドア』で運んだ方が早いんじゃないの?」みたいなことを思うのは、絶対禁止だ!
スネ夫から借りたマンガ本を返すことを忘れていたのび太くんは、
本人に気づかれぬよう『自動返送荷札』を使って、スネ夫から借りたマンガ本をこっそりと返却。
自分がやらかした「借りパク」の罪をうまいこともみ消していた。
「ジャイアンにぶん殴られるのが怖い」という理由もあったかもしれませんが、
「自分が借りパクしていた事」を謝ろうとしないのび太くんの行動は、教育アニメ基準だと、ちょっといただけない行為ではある。
のび太くんが自分の罪を素直に認めていれば、スネ夫も原因不明の腹痛に襲われることはなかった。
もちろん状況によりますが、自分が悪いと思った時はすぐに謝っておいたほうがいいと思うんですがニィ。
あと、一介の漫画好きである自分の感想としては、
ドラえもんがマンガ本を窓から放り投げたり、バトンタッチのたびにマンガ本が地面に落ちるくだりで、かなりヒヤヒヤさせていただきました。
そんなマンガ本の扱い方をしたら、カバーや小口にキズや汚れがついてしまう!
のび太くんも、人の心が少しでも残っているのであれば、せめて段ボールやプチプチ(緩衝材)で、マンガ本を梱包してくれ!
マンガ本の返却で『自動返送荷札』を使うのは、一旦考えさせていただきますが、
その一方で、町で出会った迷子の女の子をお母さんのもとに返送(?)することについては、かなり上手くいっていた。
引っ越し屋のトラックからはじまり、消防車、ヘリコプターを乗り継いだりと、非常に大スぺクタルな迷子輸送大作戦だ!
原作の描写だと、今でいうところの「事案」になってしまいそうだったので、
エンタメ路線に割り切ったこの演出は、なかなかにいい改変でした。
それにしても、あの迷子の女の子は、わざわざヘリコプターを使うほどの距離を迷い続けていたのだろうか?
パパと一緒に遠くの実家に遊びにいったら迷子になっちゃったとか、そういうこと?
まあけっきょく、この話で言いたかったことは「借りる側も責任を持つこと」なんでしょうかね。
のび太くんとドラえもんは、太田さんの隣人を「借りパク野郎」扱いして大恥をかいていたけど、
ゴルフセットを黙って又貸ししていたことがバレた太田さんも、劇中で描かれていないだけで、後でかなりの大恥をかいていそうです。
よい子のみんなも、他人から借りたものはキチンと忘れずに返そう!
というわけで、2本目の感想はここまで。
マリオネッター(カラー作品集ドラえもん第3巻収録)
今週の「ドラドラMiniシアター」は、人を操れる道具『マリオネッター』のお話。
のび太くんを操って、いっぺんに頼まれた「宿題」と「おつかい」と「草むしり」のすべてを片付けよう!
「おつかい」と「草むしり」は、体さえ動かしておけば何とかなりそうだけど、
体以外に「頭の問題」も関わってきそうな「宿題」だけは、のび太くんを操ってもあまり捗らなさそうな気がするのは気のせいか。
ドラえもんのひみつ道具には『宿題ロボット(正式名称不明)』なんてのもいるから、そいつに全部を任せるというのも手だぞ。
そもそも「おつかい」だって『どこでもドア』を使えばすぐだし、
「草むしり」も『影切りばさみ』『芝刈り魚』あたりを使えば、どうにかなります。
ムリに体を動かすより、ひみつ道具で作業の効率化を図るのも、ひとつの賢いやり方だ!
・・・なんだか、作者が意図していないような結論に至ってしまった。
といったところで、今週のドラえもん感想は以上です。
■次回予告■
次回の放送は12月17日。
「うちでのデパート」「なんでもバイキング」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(メルヘンランド入場券&自家用衛星を打ち上げよう&完全しゅうせいき)
次回の感想:ドラえもん感想(うちでのデパート&なんでもバイキング[再])