2020年12月5日放送分 ネタバレ注意!
バカ売れ!?週刊のび太(コミックス17巻収録)
1本目は、自分の応募したまんがが雑誌に載らなかったことに腹を立てたのび太くんが、
『雑誌作りセット』で自分の漫画を載せるための漫画雑誌「週刊のび太」を作るお話だ!
まるで「自分がどこの会社にも就職できないなら、自分が就職するための会社をつくればいいんだ!」みたいなお話である。
雑誌をつくる事自体はドラえもんからのアイデアとはいえ、のび太くんの連載第1話の時の精神はこの頃からあったんですね。
そして、ドラえもんも言っていましたが、
どんなに下手くそな漫画であろうと、最後までちゃんと描き上げてまんが雑誌に応募しただけでも、のび太くんは十分にエライと思います。
いろんな漫画賞の審査員の先生たちも「まずは最後まで描き上げることが大事」という事は、よくおっしゃられてますからね。
今回ののび太くんは「雑誌に自分のまんがを載せること」にこだわりまくっていましたが、
今の時代だと、自分オリジナルのまんがはウェブ上にそのまま投稿しちゃったほうが読者からの反応ももらいやすそうな気もします。
のび太くんの描いた漫画はたしかに下手くそですが、
それが「ヘタウマまんが」として評判になる可能性もないわけではないので、ただ他人に自分の漫画を見せつけたいだけなら、やってみる価値はある。
先日も「のび太くんはFPSプレイヤーになったら億万長者になれるかも?」といったツイートがバズっていましたし、
もともと行動力だけは人一倍なのび太くんがインターネットの世界に飛び出したら、将来とんでもないレベルの大人物に育ってしまうかもしれないぞ。
とはいえ、未だにネット環境がじゅうぶんに発達してなさそうなアニメ『ドラえもん』世界において、
自分のまんがを沢山の人に読んでもらうには、愚直に漫画雑誌への投稿をし続ける方法しかないのでしょう。
自分の漫画しか載っていない、どちらかといえば同人誌に近い「週刊のび太(創刊号)」を一冊100円で売り出していたのですが、まったく売れず。
在庫のすべてをチリ紙交換に回収されてしまう屈辱を味わったのび太くんは、
おとなしく『編集ロボット』の意見を聞き、読者目線での漫画雑誌づくりを心掛けはじめるのでありました。
このお話の中での「週刊のび太(創刊号)」は一冊も売れずに終わっていましたが、
現実世界では、つい先日からのび太くんを前面に押し出した雑誌が発売されており、アニメの中と違ってそこそこ売れているようではあった。
のび太くんのへたくそな漫画しか載っていない雑誌も、
藤子・F・不二雄ミュージアムのおみやげコーナーで売り出せば、すぐに完売しちゃいそうな気がします。
この感想記事を書いている自分だって、そんな本が売られていたら絶対に買う。一冊1000円でも買う。
でも、あの雑誌はあくまでも「のび太くん」というキャラクターだから売れたのであって、
小学校の頃の友だちが「自分でまんがを描いて自分がつくった雑誌に100円を支払え」と言ってきたようなもんだと思うと、そりゃ売れないのも当たり前である。
月々のおこづかいもそんなに貰っていない小学生の子供がお金を出してくれるには、
よっぽどいい内容の漫画雑誌じゃなきゃダメだぞ!
というわけで、「週刊のび太」の誌面改革に乗り出したのび太編集長。
良い漫画雑誌作りには必要不可欠な読者アンケートをもとに、人気の漫画家さんをリストアップだ!
このお話の原作においての、
「のび太くんの町内の子供たちが選ぶ、好きな漫画家アンケートの結果」は、
「手塚治虫、鳥山明(鴨川つばめ)、松本零士、ちばてつや」と、かなりのビッグネームが集っていましたが、
今回のアニメでは面子も様変わりし、
「手塚治虫、あだち充、高橋留美子、青山剛昌」と、かなり少年サンデー寄りなメンバーがそろっていた。
まあ、小学館への配慮もありますし、
ヘタに実在する漫画家さんの名前を挙げてネットが無駄に荒れるのもイヤなので、この面子が一番無難だとはおもいますが、
この連載陣だと「週刊のび太」がただの劣化少年サンデーになっちゃいそうだから不安だ。
そして、この小学館への忖度アンケートによって、
のび太くんの町内はジャンプよりもサンデーのほうを好む子供たちがいっぱいいることになっちゃったのは、なんだかおもしろい。
もしかしたら、ドラえもん世界の本屋さんでは『葬送のフリーレン』のコミックスがバカ売れしてるのかもしれないぞ。
でもそう考えたら、ちょっと悪くない世界かも。
『漫画製造箱』でつくった手塚治虫先生っぽい作品「スペースシンドバッド」も、
「協力:手塚プロダクション(この日のエンドロールより)」の名のもとに、堂々とアニメに登場だ!
おそらく、今回のお話のために、
アニメ『ドラえもん』関係者の人が手塚プロダクションまで出向き、わざわざ許可を取りに行ってくれたのでしょう。
となると、「スペースシンドバッド」は、
あの手塚プロダクションが認めた、手塚治虫作品の公式パロディだと捉えちゃっていいのかもしれない。
もしくは、その直前にドラえもんが『鉄腕アトム』の単行本を出していたので、
その許可取りをしたことによって「協力:手塚プロダクション」ってついていただけなのかもしれませんが。
さらに一見さんの目を引く表紙をつくるため、
『週刊のび太』の表紙も、しずかちゃんのグラビア写真に変更だ!
本人も意外とグラビア撮影にノリノリだったのはよかったけど、
途中からのび太くんが調子に乗ってしまい、しずかちゃんの水着グラビア写真を撮影しようとする悪ノリを見せていたのはちょっと危なかったぞ。
最近もSNS上でいろいろ言われていたみたいなので、その手のネタはなるべく自粛していただきたい。
こうして、のび太くん達の努力の甲斐もあって「週刊のび太」第2号は大好評のうちに完売。
この調子で第3号、第4号と売り出し続けていけば、
チリ紙交換に回収された幻の創刊号にもプレミア価格がついて、まんだらけあたりで高値で取引されてしまう日もそう遠くは無いぞ。
しかし、読者アンケートで、
「素晴らしい雑誌だ。のび太の漫画がなければもっと素晴らしい。」
「これからも買いたいと思う。ただし、のび太が連載をやめれば。」
「のび太の漫画の部分だけ取り外せるようにしてほしい」
「『週刊のび太』という雑誌名で全てが台無し」
などの意見が殺到していることを知ったのび太編集長が完全にスネてしまったため、
「週刊のび太」は2号限りでの休刊が決定してしまうのでした。
まったく。こんなアンチからの意見にいちいち怒っているようじゃ、
漫画家として、とてもやっていけないぞ。
でも、仮に『週刊のび太』が今後も刊行を続けていたとしても、
のび太くんが週刊連載のペースについていけるとはとても思えないので、やっぱり終わるべくして終わったんだと思います。
諸行無常ってやつだ!
あと、個人的には『週刊のび太』よりも、
これさえ手に入れれば、好きな漫画家さんの新作(っぽいもの)を好きなだけ読めそうな『漫画製造箱』のほうが欲しいとおもいました。
あれさえあれば、一生おもしろい漫画に困らなさそうなので、どこかに売ってたりしないかなあ・・・。
●ドラドラニュース●
番組放送中にも告知テロップが流れていましたが、
12月6日(日曜)の午前10時から『新作映画公開記念!!これを見ればもっと楽しめる!ドラえもん名作アニメSP』が放送されました。
『おばあちゃんのおもいで』『僕の生まれた日』『ためしにさようなら』『雪山のロマンス』の名作4本をお届けするぞ!
どれもだいぶ前のエピソードばかりだったので、絵柄に違和感を感じる部分もちょっとだけありました。
なお、日付上では12月6日にこの記事が更新されたことになっていると思いますが、
実際にこの記事を書いているのは12月10日(木曜)の深夜だったりするので、ついでにこの番組の画像を少しだけ貼っておくことにします。
ナビゲーターは羽鳥慎一さん。
各エピソードが終わるたびに毎回的確な受けコメントを返していました。
あと、右上にこんな感じのアニメーションが時々出ていたのが気になりました。
おしまい。
風船がとどけた手紙(コミックス39巻収録)
2本目。のび太くんが『長距離風船手紙コントローラー』で有名人の友達をつくろうとするぞ!
スネ夫くんの「この風船は土に溶けるエコな風船なんだよ」と、いろんなところに配慮したようなセリフから始まった今回。
普通の風船手紙ではひとりだけ返事をもらえなかったのび太くんは、
しずかちゃんの風船を拾ったリトルシュタイン公国の皇太子を超えるレベルの有名人から返事をもらうために、必死で風船を飛ばしていく!
しかし、野球場に出向いて野球選手からお返事をもらおうとして失敗したり、
テレビ局で番組収録をするアイドルに拾われようとしたら、ぐうぜん近くを歩いていたおじさんに風船を拾われそうになったりなど、
なかなかうまい具合に友達を作ることが出来ずにいました。
一緒に遊んでいて楽しい人なら、べつに友達がおじさんでもいいとは思うんですけどねえ。
でも、年齢の差的にちょっとキツいか?
あと、のび太くんが野球場に風船を飛ばすくだりは、
ちょっと前に似たようなハプニングが実際に起きて試合が中断になっていたりもするので、
原作を知らない人が今回のお話を見たら、時事ネタだと勘違いされてしまいそうだ。
本当にあんなことが起きたら、
せっかくの坂丸選手(!)のホームランも無効になっちゃったりするんでしょうかね。
あ、でも、ちょうど日本に来日していた
トランポリン大統領のもとに風船を飛ばしにいくのは、ちょっと時事ネタ要素があるかもしれない。
この度の選挙でバイデン氏に勝利宣言をされてしまったのはトランプ大統領であって、
今回のドラえもんに出てきたのは「トランポリン大統領」だからセーフ。
側近のボディーガードたちがいきなり風船に向かってピストルをぶっ放してきたので、これまた撤退せざるを得なくなってしまった。
今回の風船はホンモノの風船爆弾じゃなかったからよかったけど、
仮に「風船爆弾だ!あぶない!」と迎撃して、風船にピストルの弾が当たりでもしたら上空数メートルの位置で大爆発してしまいそうなので、かなり怖い。
実際、風船爆弾が眼の前に飛んで来たら、どう処理したらいいんでしょうかね。
やっぱり風船が地上に落ちてくる前に撃ち落とした方がいいんだろうか?
そして物語は、
のび太くんの手紙を何故か宇宙人が拾ってしまうという、SF(すごく・ふしぎ)なオチで終わっていった。
「この手紙を拾った人、これは宇宙で起こった運命的な出会いです」なる文面も、今思えばこの展開のための伏線だったということですね。
地球にやってきた宇宙人も、偶然拾った手紙に「宇宙で起こったうんぬん~」などの褒め殺しワードが書かれていたら、
その手紙を書いた人のことが気になってしまうのも、わからなくはありません。
あの宇宙人も「地球」という見知らぬ惑星にやってきて、ちょっと心細かったのかもしれない。
宇宙人の外見は、確かに見た目こそグロテスクそのものでしたが、
自分の姿を見たご近所の人がパニックにならないよう、人目のつかない夜中に野比家を訪れ、
訪問の際には「ドアのノック」と「挨拶」などといった礼儀も欠かしていなかったところを見るに、
意外と知能の高い宇宙人なんじゃないか?と思う部分もちらほらありました。
ヘタしたら、のび太くんやドラえもんよりも頭がよかったりして。
『のび太の宇宙小戦争』のパピくんとも友達になれたんだから、
あの宇宙人とも親しみを持って接してみたら、意外とすぐに仲良くなれる可能性もあるぞ。
人間であろうが、宇宙人であろうが、なんでも人を見た目で判断するのは良くないことです。
あと、のび太くん達が宇宙人の外見だけであんなリアクションをしていたところを見てて思ったんですが、
もしもパピくんが今回登場していた宇宙人みたいなビジュアルだったら、
果たしてのび太くんやドラえもんは、パピくんのためにピリカ星まで助けに行ってたんだろうか?
パピくんがあのビジュアルだったら、
ファミリー層から総スカンを食らって『宇宙小戦争』の興行収入がエラいことになってた可能性もあるけど、
でも、のび太くん達は何やかんやで助けに行ってくれるとは思うんですがねえ。
今からでも『のび太の宇宙小戦争2021』のパピくんの外見が、あの宇宙人みたいになるサプライズが起きたりしないかなあ。(問題発言)
そんなわけで、今週のドラえもん感想はここまでです。
■次回予告■
次回の放送は12月12日。
「とうめい人間目ぐすり」「エレベーター・プレート」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(半分おでかけ雲&最強!ロボットペーパー)
次回の感想:ドラえもん感想(とうめい人間目ぐすり&エレベーター・プレート)