少年シリウス10月号掲載「怪物王女ナイトメア」第10話の感想です。
また、今月も遅くなってしまいました・・・。
【これまでの感想】
今月の「怪物王女ナイトメア」は単行本2巻発売記念センターカラーと実におめでたい感じになっていましたが、
当の姫様たちは、人間たちが凶暴な怪物と化した恐ろしい世界に迷い込んでいました。
いやー、実におめでたくないですねえ。
どうやら避暑地の別荘に来た際に、姫様たちはこの奇妙な現象に巻き込まれたようですが、
なんかこの漫画は、別荘に行くたびに毎回やっかいなことが起きている気がするぞ。
怪物の王族たるもの、行く先々でその土地の悪いナニカをひきつけてしまう体質でも持っているのだろうか?
たまには、みんなで別荘に行ったけどとくに何も起きずに終わる回があってもいいと思う。
いつものメンバーがゆったりとオフを満喫する、
ものすごくユルい内容の回になりそうだけど、新シリーズ始まったんだから1回くらいそういう回があっても・・・ダメですかね?
そんな中、姫様は謎の世界で体調不良になっていたところを、飯干保(いいぼし・たもつ)の手によって助けられていた。
彼は今回のパニックが起こる前から世界終末に対して相当な危機感を持っていたようで、
核攻撃も視野に入れた自前の地下シェルターまで作っていたどころか、市販のブルドーザーを改造した手作り装甲車まで準備していた。
あの手作り装甲車はやっぱりキルドーザー事件から思いついたやつなんでしょうかね。
どちらにせよ、これらの装備が役立つほどの災害はあんまりなさそうだ。
当然、近所の人たちからは笑い者にされていたそうですが、
結果としてこのシェルターがあったおかげで彼は助かったわけだから、本当に未来というのは分からない。
「ドラえもん」で世界沈没の未来を知ったのび太くんとドラえもんが、
ジャイアンたちに笑われる中、必死でノアの方舟をつくっていた回を髣髴とさせるエピソードである。
今回の奇妙な現象の原因は「他国からの電磁波テロ攻撃」だと、アブなげな推論を語る飯干。
さらに、姫様の別荘があった場所である本霧高原から逃げ出すための道もなぜか消失しているらしく、
その場所だけが孤立したような状態になっているらしい。
高原の外側も何もなく、「キケンなので今はシェルターに籠っているのが安全」というのが飯干の主張である。
若い男女が地下シェルターの中で2人きり。
「男女同士、密室、地下シェルター、何も起きないはずがなく・・・。」と、このままエロ展開に突入しても不思議ではない雰囲気でしたが、
クレバーな姫様は、飯干が枕の下に隠していた護身用のスタンガンで彼を気絶させ、あっさりと脱出しました。
今はそんなこと考えもしてないかもしれませんが、
長いシェルター暮らしで錯乱した飯干が「子孫を残そう!」と言ってズボンを脱ぎだす可能性も充分にありえたので、
早めの脱出はまあ間違いではないかと。
シェルターから脱出し、ヒロたちと合流した姫様。
そして、異形のモンスター軍団を率いた謎の大名行列が目の前にあらわれた!
あらゆる怪物の頂点に立つ王族のひとりである姫様ですら、この光景には「・・・何だ あれは」と言葉を失っていた。
これまでは「王国の一部がこちらの世界と同じ世界に重なってしまった事から起きたもの」だと推測を立てていた姫様でしたが、
前述の異形たちを目の当たりにし、「あのような者どもを一度も見た事がない」とさすがに動揺を見せていた。
そして姫様は、
「この地域は全く識らない未知の異世界に取り込まれてしまったらしい」
「出口のない異世界に」
と、実に恐ろしいことを語ったところで、今回のお話は締められた。
最近は、主人公がいきなり異世界に行っちゃう的な作品もだいぶポピュラーになってきましたが、
今回の終わり方は、まるで光永先生が「本当の異世界とはこういうことなんだぞ」と言いたがっているような印象をうけました。
ガチの異世界には、かわいい駄女神様も、便利なスマートフォンも存在しない!
姫様の体調が悪いところとか、「電磁波攻撃」などといった気になるワードなど、
いろいろと気になる点を残しつつ、このお話は次回へと続きます。
個人的には、今回のお話が、
単行本巻末でおなじみのケルベロッテちゃんが地獄に道連れにした時の人間側の視点から見たお話だと思うと、しっくりくる。
地獄みたいなところに来ちゃったと思ったら、本当の地獄だった・・・というオチだったりして。
そんなわけで、次号の少年シリウスは9月26日(水曜日)発売です。
お楽しみに。