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【ドラえもん本レビューその252】CGWORLD 2021年1月号

 

CGWORLD 2021年1月号

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発行:株式会社ボーンデジタル

発行日:2021年1月1日

価格:1540円(税込)

全114頁

 

 

 

 

 

 

表紙を見ればすぐにわかると思いますが、

『STAND BY ME ドラえもん 2(以下、SBMドラえもん2)』の特集が載っている雑誌を買ってまいりました。

 

この雑誌は「3DCG制作」のことについて取り上げている雑誌であり、

今月号では『SBMドラえもん2』で共同監督を務めた八木竜一さんと山崎貴さんのインタビューが掲載されております。

 

 

 

というわけで、今からインタビュー記事を読んだ感想を軽く語っていこうかと。

 

 

 

 

SBMドラえもん2』は『おばあちゃんのおもいで』をベースにした映画にすることだけは決まっていたものの、

最初に山崎監督がつくったロングプロットは評判があまりよろしくなく、

 

本人も満足のいく内容では無かったためにボツ案となってしまい、

一時は別の案件との兼ね合いで映画製作も休眠状態に入っていたそうです。

 

 

しかし、スタッフの「結婚式当日にのび太が逃げちゃったりして」という何げない一言から、

ストーリーのアイデアが思い浮かぶようになり、現在の『SBMドラえもん2』のプロットが完成したとのことでした。

 

 

 

映画公開前からいろいろと賛否を呼んでいた「のび太、逃げた!」の始まりはここにあったとは。

映画のアイデアって、本当にひょんなことから思い浮かぶものなんですね。

 

この発言をしたスタッフも、まさか自分の発言から映画がつくられてしまうとは思っていなかったに違いない。

 

 

 

 

 

そして当然のことながら、

映画ドラえもんの新作を作るうえでドラえもんの世界観をぶち壊すような描写をやってはいけない。

 

 

山崎監督によると、

この「ドラえもん世界でやっていいのかどうか」という判断基準は、藤子プロがOKかNGを出すかで決めていたらしく、

SBMドラえもん2』で描かれたのび太としずかちゃんの結婚式当日」も、藤子プロからOKが出たおかげで映像化できたそうです。

 

まあ、これもアニメ映画を作る上では当たり前のことですが。

原作側からの監修はあって当然です。

 

 

でも、これからドラえもんの公式作品で何か気に食わない描写があったら、

その描写を許可した藤子プロがすべて悪いってことにしようと思います。(問題発言)

 

 

 

 

なお、藤子プロ側から「顔が怖すぎる」という理由でNGが出たことにより、

劇中でのび太くん(大人)をいじめていた不良3人組の顔は、当初よりも可愛い顔になっているという面白ウラ話も今回のインタビューで明らかに。

 

その藤子プロからのNGに対しては、不良のほっぺを赤くすることで顔の怖さを押さえたらしいので、

これから映画を見る人は、不良のほっぺにも注目してみてください。

 

 

 

 

「今回の映画で制作が難しかったキャラクター・シーンはなんですか?」との質問に対し、

八木監督は「のび太のおばあちゃん」「結婚式場に入る前のシーン」をそれぞれ挙げており、

 

「3DCGで和服をつくるのは大変だなと、改めて感じました。」

「(前略)モブの見え方や雨のエフェクトなど、かなり制作が大変でした」と、3DCG映画ならではの苦労を語る場面も。

 

 

 

あくまで素人目線での意見ですが、

たしかに「おばあちゃん」は顔の細かいシワや、和服の袖部分のヒラヒラなど、

3DCGで作ったら大変そうな部分のオンパレードである。

 

どんなに活発に動かしても違和感がなさそうなのび太くんやドラえもんと違い、

おばあちゃん特有の「おばあちゃんっぽい動き」も3DCGアニメで再現しなきゃいけないと思うと、動かすのも大変そうだ。

 

 

 

自分は『SBMドラえもん2』を映画館で鑑賞した際に、

「おばあちゃんがただ歩いているだけのシーン」がなぜか面白く感じてしまう不思議が起きたのですが、

あれも、3DCG製作スタッフのみなさんの試行錯誤の連続によって生まれた不思議だったんですね。

 

次からはちゃんと笑わないで見ることにします。

 

 

 

 

雨のエフェクトも含めた「天候のエフェクトまわり」も、

「最後の最後まで調整していた作業(八木監督)」だったとのことで、

 

山崎監督も「本作は天気が感情表現を象徴しているんです。」

「(前略)視覚以外の感覚に訴えるような要素は大切で、でもそれは映画では表現するのが難しくて。(後略)」と、

 

お2人とも、3DCG映画ならではの「天気の演出」にはかなりこだわっていたようです。

 

 

実写映画やアニメではなかなかできない表現でも、

3DCG映画ならできてしまうというのは、なんだかいいですね。

 

 

 

 

他にも「3DCGのいいところは何度でも再撮ができるところ」

「手書きのアニメや実写に比べると、修正に抵抗感が少なく、工数も少なく済むのが利点です。」

「3DCG技術は常に進歩しているので、前作の3Dモデルの流用もできなかった」など、

 

八木監督が3DCG映画づくりの「喜び」と「苦労」をそれぞれ語っているくだりもあったりと、

 

 

SBMドラえもん2』の制作裏話だけでなく、

3DCGのことが全くわからない自分でも、それなりに3DCGへの興味が持てるような内容のインタビューだったのがよかったです。

 

 

 

 

『CGWORLD』は値段こそちょっとお高め(1540円)な本でしたが、

3DCG制作目線での『SBMドラえもん2』の情報をたっぷりと知ることができたので、とりあえず買ったことを後悔するような内容ではありませんでした。

 

 

今回この記事で取り上げた内容は、あくまでも自分が気になった部分のみの抜粋のみであり、

八木・山崎両監督のインタビューでは他にもいろいろなことが書かれていたりもするので、まあ気になる人は雑誌を買ってみてくださいということで。

 

 

 

 

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あと、インタビューの他に「『SBMドラえもん2』の制作工程紹介」みたいな特集も組まれていたのですが、

文中の専門用語が多すぎるせいで、内容の3割も理解できないという不幸も発生しました。

 

 

でも、これらの文章も、わかる人には面白く感じる文章なんでしょうね。

自分は「ベータがアルファをカッパらったらイプシロンした。なぜだろう?」とドラえもんから言われた時ののび太くんみたいな顔になっちゃったけど。

 

 

 

自分のようなメカ音痴ではなく、

ちゃんと3DCGとドラえもんに詳しい人がこの本を読んだ感想も見てみたいと思いました。おしまい。

 

 

 

 

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ページを適当にめくっていたら虎杖悠仁がいたのでびっくりしました。