2020年10月3日放送分 ネタバレ注意!
ダルマさんころんだ帽(藤子・F・不二雄大全集『ドラえもん』第17巻収録)
自分がこっそり学校に持ち込んできたマンガ本「ギャグラくん」をジャイアンに奪われてしまったスネ夫。
さらにジャイアンがマンガを授業中に隠れて読んでいたのがバレてしまい、
学校の先生にマンガ本を没収されてしまうという、不幸の連鎖が発生するのでありました。
自分がやらかしたことなのに、
「ま、ツイてない時もあるさ」と軽く流そうとしていたジャイアンは本当にすごい。
「授業中に漫画を読んでいた自分が悪かった」とは一切語らず、
「自分が授業中にマンガを読んでいるのがバレたのは運が悪かったから」と言いたいかのごとく、自分の運の悪さに全責任を押し付けようとしている。
もちろん、こんな塩対応でスネ夫が納得するわけもなく、
「(漫画を取り返してくれないなら)ジャイアンのママに0点の答案を見せてやる!」と脅しをかけられてしまったジャイアン。
このスネ夫の勇気ある発言に完全にひるんでしまったジャイアンは、
何故かその場にいただけののび太くんに「(俺の代わりに)先生から漫画をとりかえしてこい!」と無茶な指示を出すのでありました。
確かにジャイアンが言っているように、
ドラえもんのひみつ道具で何とかすれば、漫画くらい簡単に取り戻せそうではありますが、
べつに漫画の持ち主でもなく、
漫画を奪われたわけでもないのび太くんにとっては、完全なとばっちりである。
のび太くんも、
こんな意味不明な命令など、はじめから聞かなかったことにしておけばよかったのですが、
ジャイアンから「この町を歩けなくしてやろうか」とヤクザまがいの脅迫をされてしまったせいで、反抗する勇気も出てこなかったようだ。
もう一度言いますが、
スネ夫のマンガ本が先生に奪われたのは、ジャイアンが授業中にマンガを読んでいたことが原因です。
とはいえ、このままジャイアンの指令を無視していると、
いつまで経ってもお話が進まないので、
ここはおとなしく、ドラえもんから借りた道具『ダルマさんころんだ帽』で先生からマンガ本を取り返しにいくことに。
今回のび太くんが使う『ダルマさんころんだ帽』は、
「ダルマさんがころんだ」のゲームのように、自分の動きをピタッと止めている間は、相手から自分の姿が見えなくなるという道具であり、
でも、どうせ姿を消してマンガ本を取り返しにいくのが目的なら、
『透明マント』『かたづけラッカー』を使ったほうが便利なんじゃないか?とうっすら思ってしまうような道具である。
「動きを止めないと姿が見えてしまう」という遊び要素がある道具を出してくるところに、
ドラえもんが今回の騒動をかなり軽く見ているような気がするけど、大丈夫なんだろうか?
しかし、ドラえもんレベルのデカ頭のキャラでもちゃんと道具が機能していたので、
『ダルマさんころんだ帽』の効果自体はやっぱり本物のようだった。
あんな頭に乗っけているだけみたいな状態でも、「帽子を被った」としてカウントされるんですね・・・。
マンガを取り戻すべく、学校の先生への接近を何度か試みるのび太くんでありましたが、
先生が背後からの気配に妙に敏感だったせいで、一向にマンガを取り戻せずにいた。
なにかの気配を察した先生が後ろを振り返るたびに、
のび太くんが変なポーズで静止しなきゃいけないの、まるでコントみたいだ。
そしてお話は、ジャイアンが母ちゃんに怒られたくないあまり、
「このマンガ本はスネ夫が持ってきたやつです」と先生に告げ口したことを知ったスネ夫が、『ダルマさんころんだ帽』で仕返しを実行。
「自分のマンガ本」と「ジャイアンのマンガ本(ジャイアンの0点の答案入り)」をすり替え、
学校の先生の怒りの矛先を再びジャイアンに向けさせるという、非常に狡猾的なおそろしいオチで終わっていった。
「自分の勘違いでスネ夫のママのもとへ行ってしまった」と思い込んでいる先生のことなので、
おそらく、いつも以上にジャイアンへの説教のボルテージが上がっていそうだ。
もう一度言いますが、なんとも恐ろしいオチだ。
頭のいい人を敵に回すのは、本当によくないですね。
ただ、今回の騒動については、
「そもそもスネ夫が自慢目的でマンガ本を学校に持ってこなければ、こんなことにはなっていなかった」という考えもある。
「マンガを持ってきたスネ夫が一番悪い」という見方で今回のお話を見ると、
諸悪の根源が退治されないまま終わったバトルマンガみたいで、なんともおさまりが悪いぞ。
今回のお話がてんコミ未収録扱いになっているのも、この読後のモヤモヤ感が原因なのかもしれません。(個人の感想です)
そんなわけで、1本目の感想はここまで。
●ドラドラニュース●
「ドラえもんのえかきうた」2週目。今週もドラえもんを描いてみました。
先週よりも出来がヘタクソになった。
なんでも届く!出前電話(コミックス19巻収録)
2本目は、なんでも出前で取り寄せることのできる道具『出前電話』のお話。
そして先週にひき続き、今週も再放送回無しの新作エピソード2本体制となりました。
次回予告を見る限りだと、どうやら来週も新作エピソードを2本放送するっぽいのですが、
再放送はもうやらないつもりなんだろうか?
「電話でなんでも取り寄せることができる」という、この道具。
今の時代でいうところの「ウーバーイーツ」や「出前館」、
食べ物に限らなければ「Amazonの通販」などといった宅配サイトの存在を先取りしたようなアイデアの道具ともとれます。
Twitterで定期的に見かける、
「藤子F先生は〇〇の登場を予見していた!」的なツイートをマネして、
「藤子F先生は『出前電話』でウーバーイーツの存在を予見していた!!!」と大声で主張したら、そこそこの数の「いいね」が貰えるかもしれないぞ。
(そして実際にやってみたら、「10いいね」が貰えました)
ちなみにこれは、完全な私事なのですが、
自分の住んでいるところは田舎なのでウーバーイーツも当然「エリア外」となっている上に、
一回ためしに「出前館」でなにか出前を頼もうとしたら、
検索結果に花屋と水道屋しか出てこなかったという結果に終わり、完全に詰んでしまったことがあります。
自分の家の近所、出前してくれるメシ屋が一軒もない!
そんな出前過疎地である我が地元でも、
『出前電話』を使えば、好きに出前を取ることができそうなのでありがたい。
きっと未来の世界では、みんな家から一歩も出ずに『出前電話』で好きなものを頼んでいるんでしょうね。
未来の世界では、運動不足や肥満に陥っている人が現代と比べてかなり多くなっていそうだ。
「俺は絶対にこれを取り寄せたい」と思って電話をすれば、
『出前電話』の強い効果によって、ハガキを投函するための郵便ポストも取り寄せることもできます。
でも、「ハガキを投函するのに外へ出るのがめんどくさいから」というだけの理由でポストの出前を頼んでしまうと、
その時にちょうど、ポストの近くにいた通行人のひとが強制的にポストを運ばないといけなくなるらしいので、面白半分での出前は絶対にやめましょう。
ちなみに、ネットで見つけた情報によりますと、
あの通行人さんが運んでいた丸型郵便ポストの重さは150キロもあるそうです。
のび太くんの怠惰のせいで150キロのポストを運ばされた名も無き通行人さん、なんかかわいそうだ。
それにしても、このお話の初出である1978年頃は、
今では全く見かけなくなった「丸型郵便ポスト」もまだまだ街にあった頃なんですね。
なんだか、時代を感じます。
そもそも、今回の主役である『出前電話』自体も、
未来の道具なのにダイヤル式の電話だったりするので、
そういったところからの原作再現部分から当時を感じることができるのも、
今年で誕生50周年を迎えた『ドラえもん』ならではのいいところというか、なんというか。
「電話」はスマホしか使ったことなさそうな今の子供たち、
今回登場したダイヤル式の『出前電話』を見ても、「あれは電話だ」とわかってくれない可能性も十分にありえそうではある。
ドラえもん出前電話、作監と旗本カンナちゃんフィギュアのキャラ設定をさせて頂きました pic.twitter.com/RWlCczSfwh
— 藤田 (@Fujitanco) 2020年10月3日
そんな昔の出来事も描きつつ、
ウーバーイーツネタや「パパから貰った旗本カンナちゃんのフィギュア」など、
しっかりと現代の話題も取り入れていたのが、今回のお話で一番印象に残ったところでした。
旗本カンナちゃんはおそらくあの人が元ネタで、
あのフィギュアのポーズも例の「奇跡の一枚」をモチーフにしているんでしょう。
本家のハシカンよろしく、あの子はあっちの世界だと「ハタカン」という愛称で親しまれているんだろうか?
ドラえもんが出前をした「どら焼きタワー」を持ってきたアメリカン大男(役名もこれでした)は、かなり粗暴な性格らしく、
出前した商品をドラえもんに投げつけるという荒々しい配達を行ったせいで、
せっかくのどら焼きタワーもぐちゃぐちゃになってしまった。
TVのニュースでもたびたび見かけることがありますが、
ここのドラえもんのどら焼きタワーのくだりは原作になかったところなので、
おそらく、そのトラブルを「時事ネタ」として作中に取り入れてみた、
もしくはこの脚本を書いた人が以前ウーバーイーツに頼んだ出前をぐちゃぐちゃにされたことを思い出したのかのどっちかでしょう。
どちらにせよ、今どきの話題も入れてくるのは良いことである。
そんな旗本カンナちゃんのフィギュアも、
誰かにフィギュアを見せびらかそうとして、うっかり喧嘩中のジャイアンとスネ夫を出前してしまい、
さらにのび太の部屋で行われた「その喧嘩のつづき」に巻き込まれた結果、あっけなく壊されてしまうのでありました。
ジャイアンに蹴っ飛ばされて、
旗本カンナちゃんのフィギュアの上に落下してしまったスネ夫。
結果的にフィギュアに全体重をかけて潰した形となったので、あとでその体の箇所がものすごく痛くなってそうだ。
あと、このケンカはもしかしたら、1本目のお話のあとの出来事だったりするのかもしれない。
あんなことされたら、そりゃジャイアンもあれくらい怒るよなあ。
けっきょく、今回のお話は『出前電話』によっていいこともあったけど、
悪い出来事のほうがそれを上回ってしまった気がするので、だいぶかわいそうではあった。
このお話の教訓は「出前をするときはよく考えてから出前しましょう」とか、そういうことを伝えたかったんだろうか?
なんだか、ナンセンスな教訓だ。
『出前電話』は出前した品物といっしょに、たまーに不運を運んできちゃうこともあるので、みなさんも注意しましょう。
といったところで、今週のドラえもん感想はここまでです。
■次回予告■
次回の放送は10月10日。
「弓やで学校へ」「写真入りこみスコープ」 の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(大人をしかる腕章&無人島へ家出)