光永康則先生が月刊少年シリウスで連載中の「アヴァルト」第1巻が発売されました。
光永康則先生の代表作と言えば、ご存知アニメ化もされた「怪物王女」。
- 作者: 光永康則
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2013/04/09
- メディア: コミック
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笹鳴町に引っ越してきた、ちょっと気弱な中二の男の子・日和見ヒロ。
着いたそばから思わぬ事故で命を落としたヒロは、怪物たちの頂点に君臨する王族の血を引く「姫」によって、生命の炎を吹き込まれ、再び蘇る。
しかし、それは彼女の家来として一生の忠誠を誓うことを意味していた──。(マッドハウス公式HPより)
登場人物も、全ての怪物を統べる王族の王女、その王女に遣える人造人間のメイド、後に仲間となる人狼族の娘や吸血鬼の少女などなど、
これらの設定やあらすじから、かなり「怪物くん」の影響が出ていることがわかります。
もちろんこれは光永先生が「怪物くん」の内容をパクったというわけではなく、
元々藤子不二雄ファンであった作者さんが、所謂インスパイアとしてあえて入れたものであり、
・狼男、人造人間・・・早い人なら第1話で元ネタに気付いてくれると期待していた部分もあります。(怪物王女20巻特典小冊子 39P)
・この漫画のモチーフは「○○くん」だと思う人も多いでしょうし、当然吸血鬼が仲間になると予想されていた方も多いと思います。(怪物王女20巻特典小冊子 41P)
このように、元ネタに気付いた人がこの漫画に少しでも興味を持ってもらえるようにする意図もあったのだと思います。
自分もアニメ放送でこの作品の存在を知り、当初は「コイツやりやがったな!」と思ったものですが、
幸いにもそのTVアニメや原作が面白かったことと、後に藤子不二雄Ⓐ先生から帯コメントを頂く等の実質的な公認もあったことから、
そのまま1人のファンとして光永先生の単行本が出る度に買い集め続け、現在に至っているというわけです。
なんてこった、作者の思惑通りになってしまった!
で、そんな光永康則先生の最新作がこの「アヴァルト」という漫画。
アヴァルトというのは、この作品世界での『神』である巨人のことを指しており、
この漫画の序盤で、早くもその『神』が出てきます。
2体も出てきます。
しかも男女ペアの神様です。
この世界には異形の怪物どもが跳梁跋扈しており、普通の人間ではとても歯が立たないほどの戦闘力を持っています。
しかし、そんな怪物たちを簡単に倒せてしまうのがこの「神<アヴァルト>」という存在。
本当に彼らが神なのかどうかは現段階ではまだ分かってはいませんが、
普段より怪物たちの襲撃に悩まされている人たちにとっては、まさに神のような存在だと言えるでしょう。
迷惑な怪物も倒してくれるし、意外といい神様なのかな?と思っていた矢先、
男の方の神様(マーシュ)の視界に偶然入った、この町に流れ着いていた母子の髪の色が自分と同じ色で不快だったからという理由でお母さんを斬り殺してしまいました。
これはいけない。
しかもまだイライラが治まらないらしく、残った息子の方まで殺そうとしています。
このまま息子も圧倒的な力を持つ神によってやられてしまうのか?
と思ったその時!
なんと助けに来てくれた人が出てきたのです!
それがこのカエルさん。
カエル
一見単なるネタキャラにしか見えませんが、剣技の腕自体は神と対等に戦えるほどの実力を持っており、
結果的にはこの少年の命を救う事となります。
で、このカエルさんはどこから来たのかというと、
なんと宇宙から来ていたのでありました。
この宇宙船の乗組員であるロイド・コスギ氏は、
ある日冷凍催眠から目を覚ますと、自分以外の乗務員6名全員がいなくなっていることに気づきます。
それと同時に自分が冷凍睡眠で1万年も眠らされていた事、その間に地球上の文明が全て消え去っていた事なども判明しました。
そして、このさまざまな謎に対する唯一の手がかりが彼が1万年もの間眠らされていた間もずっと稼働され続けていたひとつのMMORPG。
調査の結果、このMMORPGのゲーム画面と1万年後の地球の風景がピタリと一致。
ロイド氏は手がかりを求めてこのゲームへのログインを図ることにしました。そのゲームのアバターがさっきのカエル(名前は「ネッド」)だったわけです。
というわけで、何とか少年を救ったカエルさんだったわけですが、
今度は女性の方の神様・シノアが、その少年を殺そうとした男の神様・マーシュのやり方に異を唱えた事に腹を立て、シノアの神の力を剥奪してしまいました。
神の力剥奪。体が人間サイズになったり、空を飛べなくなったりします。
神の力を失った神様などほぼ人間と同じ。
それでも剣技の実力は神の頃のままなので多少は戦えることも出来るのですが、
自分の髪の毛と色が一緒だったからという理由で人間を殺すような奴が、自分と同じような実力を持つシノアを放っておくわけがありません。
あとどうでもいいけど、神の力を失っているのに空を飛ぼうとしてただひたすらその場に立ち尽くすシノアさんがかわいい。
飛べない
そんなわけで、1万年後の地球が何故こうなってしまったのかを探ると共に、
旧文明の生き残りとして神を斃す為のヒントを見つけたいカエルさんと、その斃す為のヒントを持っていそうなシノアさん、
そして、神によって母親を殺された仇を討ちたい少年・タギらによる壮大な旅が始まることとなりました。
タギ
まずはシノアさん曰く「古代の生物がいた気がした」という「封印の地下迷宮」へと進むことになったのですが・・・といったところで第1巻の大体のお話はおしまい。
何か文章だけを見ると、第1巻のほとんどの内容を書いてしまったように見えますが、これらのお話は第3話まで入っているうちのまだ第2話までの内容。
桃太郎でいえば、やっと桃太郎が鬼退治に行く決心を固めたくらいの段階です。
つまり、まだ基本設定を語ったに過ぎないレベル。それくらい内容が濃いってことなんですよ。
それに今のところは、まだまだ今後に繋がりそうな謎をばら撒いてるだけの段階なので、これから読んでも十分に楽しめると思います。
藤子不二雄ファンの光永先生だけあってか、何となく「カンビュセスの籤」を思い出す伏線もあったりと気になることはたくさん。
船員は居らず、何故か冷蔵庫には謎の食糧がいっぱい・・・という場面。
今ならこのサイトで第1巻の試し読みが出来ますし、
第1巻を読んで続きが気になったら、今月25日までニコニコ静画でこの単行本の続き(第5話)がすぐに読めるというサービスもやっています。
気になった方は是非とも試し読みを。
第2巻は8月発売予定とのことなので、これからの展開にも期待していますよ!
下のは打ち切りになっちゃったけど好きな作品の一つです