出版社:竹書房
発行日:2015年7月7日
価格:1300円(税抜)
全188頁
先日ネオ・ユートピア57号を読んだので、それに関連してこの本を語ります。
藤子不二雄先生の元アシスタントであり「まいっちんぐマチコ先生」の作者であるえびはら武司先生の著書。
現在も「本当にあったゆかいな話」にて好評連載中の作品をまとめた本であります。
えびはら先生が藤子スタジオに勤務していた1973年から75年までの約2年間のエピソードが4コマ形式で描かれており、
元アシスタントだったからこそ語れる作品の製作裏話から、えびはら先生から見た藤子両先生や他のアシスタントさん達のプライベートの様子まで当時の貴重な証言がたっぷりと語られております。
ネオ・ユートピアでも、たかや健二先生が藤子スタジオでの当時の思い出を振り返る「ぼくの藤子スタジオ日記」という作品を描かれていますが、
時系列的には、たかや健二先生が藤子スタジオに入社したのは、えびはら先生が藤子スタジオを退社された後なので内容的には全く被っていません。
そしてこの本は、若かりし頃のえびはら先生の藤子スタジオでの楽しかった思い出話が大半を占めていますが、
もちろん藤子・F・不二雄先生の代表作であるドラえもんの製作裏話も載っているので、この本の感想を「ドラえもん本レビュー」カテゴリで語っても大丈夫でしょう。俺がルールだ。
さて、こういう藤子スタジオの関係者の方で、当時の事情についての証言本というのはあまり無かったので、そういう意味でもかなり貴重な資料になる作品だと思います。
藤子スタジオの元アシスタントさんで当時の思い出を語るという場面では、たかや健二先生やむぎわらしんたろう先生などの登場が多く、
その他の元アシスタントさんはあまり露出や多くを語らないイメージがあります。
そもそも、藤子先生との当時の裏話をこれまでに一番語ってるのは元アシスタントでもなく、藤子不二雄Ⓐ先生だったりしますからねえ。
あと、「本当にあったゆかいな話」を普段読んでいないので、もしかしたら現在やっているのかもわかりませんが、
個人的には、当初の依頼であったらしい「まいっちんぐマチコ先生」の裏話が一番読みたいです。
それこそ、連載開始の経緯の話やアニメ化された当時の話、学研が「マチコ先生に抗議する会」に怒られた話、
連載終了から再び新作を書くことにした経緯の話、実写版まいっちんぐマチコ先生製作の裏話など、おもしろそうなエピソードは豊富にありそうですし、
藤子スタジオの裏話と違ってこの話はえびはら先生にしか描けないという点においても描く意味があると思います。やってくれないかなあ。
で、この前家に届いたネオ・ユートピア第57号。
この本には前号に引き続き、「藤子不二雄アシスタント列伝」という特集が載っています。
「これでまいっちんぐマンガ道では伏字になっていた元アシスタント・K山の詳細が分かるぜ!(下世話)」と思って読んでみたのですが、
アシスタント列伝は永田竹丸先生がチーフアシスタント時代だった1970年頃までで終わっていました。うーん残念。
なんか変な取り上げ方をしてしまいましたが、
この「藤子不二雄アシスタント列伝」はどうやって調べたんだというくらいに詳細な情報と豊富な資料によって構成されたとても素晴らしい特集です。
さらに同く前号から続く特集「シスコン王子の世界」も製作スタッフのインタビューから絵コンテ、台本まで掲載ともはや資料集レベルの内容。すごいよ本当に。
改めてネオ・ユートピアの熱意と底力を感じました。今年でNU発足30周年おめでとうございます!(唐突な締め)