2020年12月31日放送分 ネタバレ注意!
●ドラドラニュース●
今年最後の『ドラえもん』は「大みそかだよ!ドラえもん1時間スペシャル」と題し、午後4時30分からの放送。
今年も例年通り、大晦日をゆっくりと過ごすのび太くんとドラえもんのブリッジアニメや、
『のび太の宇宙小戦争2021』『STAND BY ME ドラえもん 2』の宣伝を挟みながらお送りします。
超大作特撮映画「宇宙大魔神」(コミックス20巻収録)
今年の大みそかスペシャル1本目は、ドラえもん達が自主制作の特撮映画をつくるお話!
簡単に合成映像を撮影できる『イージー特撮カメラ』を使い、
出木杉くんやスネ夫くん全面協力のもと、特撮映画「宇宙大魔神」の制作を始めるのですが・・・。
サブタイトルを出す前に本編の内容をちょっとだけ流すという、
いつもと違う「映画」を意識した演出をやっていたところがよかったですね。
8ミリカメラで自主制作の西部劇を撮るほどの映画好きであった藤子F先生が存分に自分の趣味を生かした、
ドラえもん達の特撮映画撮影時における、リアルかつ細かすぎる描写は、
今回のアニメでもしっかりと表現されていたと思うのですが、これは特撮映画ファンの方が見たら、また違った感想を残してくれそうです。
映画「宇宙大魔神」は製作者全員が小学生という、
かなり特殊な環境から生まれた自主制作作品となっていましたが、
ドラえもんのひみつ道具提供や、出木杉のシナリオとスネ夫の造形技術のおかげで、立派な特撮映画に仕上がっていた。
「映画制作」は監督ひとりの力だけでなく、制作チームの力も借りた上で作り上げていくものである。
みんなが得意分野の知識を生かしながら、ひとつの映画(「宇宙大魔神」)を作りあげる工程は、
それこそ「映画作り」の楽しさや醍醐味そのものを描いたという感じがして、すごく好きです。
普段は活躍の場がかなり限られているのび太くんですが、
今回は「『イージー特撮カメラ』で映画を作ろう」と思いついたのび太くんが実際に動き出していなければ、
映画「宇宙大魔神」をつくるためのドリームチームすら生まれていなかったという事実については評価されてほしい。
もしかしたらのび太くんは映画制作そのものに関わるよりも、プロデューサー業に徹したほうが輝くタイプなのかも。
スネ夫くんが映画で使用する街並みのセットにダメ出しをしていた際に、
「ウェザリング」「遠近感」という言葉を使っていたところを見るに、やはりあそこはスネ吉兄さんの教えが彼の中で生かされているんでしょうね。
むしろ、今回の脚本をかいた人がそのことを意識した上で、
あえてそのワードを入れたセリフをスネ夫くんに喋らせていたとするなら、もっとすごいぞ。
しずかちゃんが『きせかえカメラ』でエッチなコスチュームを着させられてしまうシーンがあるのですが、
今回のアニメ化では、そのシーンが完全に無かったことにされて終わっていました。
キャッ、なによこれ!(該当シーンがカットされたことに対しての反応)
でも、自分もこのお話をやると知った時は、
「あのシーンを大晦日の夕方に放送するのはどうなんだ?」と不安になっていたので、まあ賢明な判断でしょう。
ちなみに、
約13年前に同じ回をアニメ化した時はそのくだりもちゃんと放送されていたので、
これはアニメのコンプライアンス事情が13年の間に進歩したのか、
自分が推測したように、しずかちゃんのあの格好は大晦日に放送するにしては刺激が強すぎると判断されたからなのか、どっちか気になる問題ですね。
十何年後かにあるかもしれない『宇宙大魔神』の再々リメイク回で、
しずかちゃんのあのシーンが復活するかどうかでまた話が違ってきそうなので、みなさんも今回のカット問題には真面目に向き合っていきましょう。
そして、このお話の結末は、
知らないうちに自分が悪役にされていたことを知ったジャイアンが怒って終わるというオチ。
これは普段のジャイアンがヒール役だから通用するオチだけど、
今の時代では、どこかから「あの終わり方はいじめを連想させる」みたいなことを言われちゃいそうな演出でもあった。
これも十何年後にあるかもしれない再々リメイクの時には、オチの内容が変わってしまったりするんだろうか?
ファンとしては、もちろん原作通りのままでアニメ化してほしいけど、
コンプライアンスをギチギチに守ったバージョンの『宇宙大魔神』もちょっと見てみたい気持ちもあるので難しい。
とりあえず、これらのコンプライアンス事情に関しては、
自分の願望ではなく、アニメを制作しているシンエイ動画のその時の判断に全て委ねることにします。
そういえば、今回の大みそかスペシャルにおける「超大作特撮映画『宇宙大魔神』」は、
今年3月公開の映画「『のび太の宇宙小戦争2021』の関連作」という触れ込みのもとに放送されていた。
『宇宙小戦争』の冒頭が特撮映画の撮影から始まるので、たぶんそれに引っかけてのことだとは思いますが、
逆に言っちゃえば、『宇宙小戦争』とはそれだけの関連性しかない気がする。
なんとなくJARO案件っぽいニオイもするけど、
こういうのはとにかく言ったもん勝ちの世界なのでしょうがない。
というわけで、みなさんも映画を見に行きましょうね。1本目の感想おしまい。
2本目は、現在公開中の映画『STAND BY ME ドラえもん 2』の関連作として「のび太の結婚前夜」を放送。
内容自体は、2011年3月18日放送分の再放送ですね。
本放送の時は東日本大震災が起きた翌週に放送された回と考えると、いろいろと思うところが。
『STAND BY ME ドラえもん 2』はのび太くんの結婚式を描いたお話なので、
たしかに、『結婚前夜』を描いた2011年のアニメ版も関連しているといえば関連してると言えるけど、
のび太くんがしずかちゃんの失くしたイヤリングを探すくだりがあったり、
ドラえもんがどら焼きを前にひとりぼっち時特有のテンションを見せていたりなど、この回独自の展開が描かれているなど、
2011年版『結婚前夜』は、原作の『結婚前夜』とも、映画版の『結婚前夜』とも、
『結婚前夜』を題材にした『STAND BY ME ドラえもん』の世界とも、かなり似たようでまったく違っている世界のお話である感じがするので、
それを「『STAND BY ME ドラえもん 2』の関連作!」と言っちゃうのは、ちょっと強引な気がします。
まあ、これも言っちゃったもん勝ちか。
「『STAND BY ME ドラえもん 2』の関連作!」は、それこそ『STAND BY ME ドラえもん』しかないと思うんですがねえ。
『のび太の結婚前夜』のストーリー自体はみんな知っていると思うので、お話の詳細はだいぶ割愛させていただきますが、
今回のアニメでは、しずかちゃんの失くしたイヤリングを通して、
大人のび太くんのしずかちゃんに対する想いがよりクローズアップされていたような気がします。
原作ではしずかちゃん側の心情はたっぷりと描かれていましたが、のび太くん側の気持ちはそんなに描かれていませんでしたからね。
のび太くんのように多少抜けてはいるけど、
自分の困りごとに対して必死に向き合ってくれるのは、良い人である何よりの証拠である。
あと、のび太くんが呑みの席でやっていたカエルのものまねのシーンもなんとなく哀愁があって好きです。
(本編とあまり関係のない話題)
そして、好きな人を取られてしまったのに、
のび太くんのことを終始褒めたたえていた未来の出木杉くんはすごくいい奴だと思いました。
『STAND BY ME ドラえもん』の時といい、自分の中での出木杉くんの好感度が上がりまくっている。
酔っぱらい状態であんな素直な気持ちが言える人、なかなかいませんよ。
出木杉くんは頭も顔も性格もいいのに好きな人と結婚できなかった。
これだから人生というものは面白いのかもしれません。
こうして、未来ののび太くんの熱い想いに感化された現代ののび太くんは、
夜遅くにしずかちゃんの家へ出向いて「きっと幸せにしてみせるからね!」と叫んでいた。
原作では明るい時間でのしずかちゃん宅突撃だったのに、
2011年のアニメでは時刻を夜遅くに変更したことで、しずかちゃんへのめいわく度がより上がっている!
自らの熱い想いを伝えるのはけっこうですが、
相手の気持ちも考えないとただ嫌われるばかりか、警察に通報されてしまう恐れもあるので、みなさんも注意しましょう。
といったところで、2020年のアニメ『ドラえもん』感想はここまで。また来年!
■次回予告■
1月2日(土)は「夢対決2021 とんねるずのスポーツ王は俺だ!! 5時間スペシャル」放送のためお休み。
次回の放送は1月9日。
「バランス注射」「お金なんか大きらい!」「初日の出セット」の3本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(ジャイアン反省、のび太はめいわく&ドラえもんに落書き[再])
次回の感想:ドラえもん感想(バランス注射&お金なんか大きらい!&初日の出セット)
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