2020年10月31日放送分 ネタバレ注意!
影ぼうしフラッシュ(ドラえもんカラー作品集第2巻収録)
今回の放送日である10月31日はちょうどハロウィンの日ということで、
1本目は、原作の「影ぼうしフラッシュ」の回にハロウィン要素を足したお話をお届け。
ハロウィン一色になったのび太くんの近所の商店街や、
「トリックオアトリート!」とお化けの扮装をしてお菓子をねだる子供たちの登場に加え、
ドラえもんがのび太くんに取られそうになっていたどら焼きも、ハロウィン特別限定の「かぼちゃ餡どら焼き」になっていたりと、
「ハロウィンネタ」がこれでもかと詰め込まれた一本となっておりましたが、
原作の雰囲気自体は壊さずにしっかりと季節ネタを取り入れた、なかなか良心的な改変内容だったと思います。
『影ぼうしフラッシュ』をつかってジャイアンとスネ夫をやっつけようとするのび太くん。
しかし、影ぼうしの効果は30分しかもたないことや、
「喧嘩の強さ」や「度胸」は、コピー元であるのび太くん自身とまったく変わらない事実も相まって、なかなか思い通りにはいかないようであった。
影ぼうし達がコピー元である人(のび太くん)の指示を裏切って逃げてしまうあたり、
この道具で生み出した「影ぼうし」に対しては、そんなに強制力はないようです。
モジャコーン pic.twitter.com/KbSvpGHPoE
— koukousei(美山田精一)@スパムじゃないよ (@koukousei) 2020年11月1日
ただ、「影ぼうし」ののび太くんは、
近所の人たちからハロウィンのお菓子をたくさんもらっていたりなど、ジャイアン達とのケンカ方面以外ではそれなりの成果をあげていた。
影ぼうし達は表情こそ無いものの、
嬉しい時は頬を赤らめるなど、けっこうチャーミングな存在ではあるので、確かにお菓子をあげたくなる気持ちもわかります。
みんなが彼らのことを「オバケの扮装をした人」と勘違いしていたようなので、
この日がちょうどハロウィンだったのも、幸い(さいわい)した結果となった。
今回、原作回にハロウィンネタを追加したことで、
もしかしたら『影ぼうしフラッシュ』は、ハロウィンの時に使える道具なんじゃないか?という可能性が発覚したのは、なかなかに良い収穫でしたね。
『影ぼうしフラッシュ』は、
影ぼうし達の歩く時の音がボヨンボヨンうるさいこと以外は、けっこう役に立つ道具だ!
物語のほうは、夕暮れ時は影が大きくなることに気づいたのび太くんが、
残り1個だけとなった『影ぼうしフラッシュ』をうまく使い、巨大影ぼうしのび太くん(推定身長5m強)を発動。
「突然あらわれた巨大な影に体をつまみ上げられる」という未体験の恐怖に襲われたジャイアンとスネ夫は、泣きながら許しを請いていたので、
ちょっと手荒な手段だったけど、とりあえず、のび太くんがいじめっ子2人をギャフンと言わせることは出来たのでした。
ジャイアン達をやっつけられたのび太くんも満足そうだったし、これも一応のハッピーエンドだ!
それにしても、
でっかくなった影によって悪が滅ぼされるのは、なんだか『名たんていカゲマン』を思い出すような展開だった。
あ、いま調べてみたんですが、
『影ぼうしフラッシュ』の回の初出は1985年なので、『名たんていカゲマン』の連載終了(1984年完結)よりも後なんですね。
『影ぼうしフラッシュ』の登場、もっと早いんだと思ってました。意外。
あと、5ちゃんねるのドラえもん実況スレを見ていたら、
「129.3馬力もあるドラえもんが、影ぼうしののび太くんの制止を振り切れないのはおかしい」という、ちょっと気になるコメントも発見。
この問題に関しては自分でも判断しかねるので、ドラえもん識者の人たちの手で各自判断してもらえたらと思います。
そんなわけで、1本目の感想は以上です。
ドラキュラセット(コミックス21巻収録)
今週の2本目もハロウィンらしいお話。
誰でもドラキュラ(っぽいもの)になれる道具『ドラキュラセット』のお話だ!
スネ夫くんの語る「ドラキュラの話」に怖がりすぎたあまり、靴も履かずに家まで逃げ帰ってしまう痴態を晒したのび太くん。
この屈辱の出来事をなかったことにするべく、ドラキュラと化したのび太くんは、みんなの記憶を吸い取ろうとするのですが・・・。
「ドラキュラ」で受けた屈辱は、「ドラキュラ」で返す。
ちゃんと筋の通った、誰にでもわかりやすい経緯(いきさつ)である。
そして、自分は心が汚れているので、
「相手の首に噛みつけば記憶を吸い取れる」と知ったのび太くん(ドラキュラ)が、真っ先にしずかちゃんの家に行ったところに、
ちょっと邪(よこしま)な感情を抱いてしまった。
しずかちゃんの家をトップバッターにしたのは、なんだか違う目的があるように見えてあやしいぞ。
まあ、別にこんなことはどうでもいいですか。
あと、細かい事を言うと、
一部のドラキュラには「他人の家には家人から招かれない限り、その家に入ることができない」という縛り設定もあるのですが、
今回ののび太くん(ドラキュラ)は、普通に家屋へ侵入することが出来ていました。
『ドラキュラセット』では「ニンニクや十字架に弱い」などの代表的な縛り設定は踏襲されていたものの、
さすがに、そこまでのマイナー設定は採用されなかったようです。
ただ、この道具は「無断で他人の家に侵入できてナンボ」みたいなところもあるので、
『ドラキュラセット』がいちいち家人からの許可を得ないと使えない仕様だったら、他人から記憶を吸うのもかなり面倒くさくなるんでしょうなあ。
この道具はあくまでも「他人の記憶を吸い取る」のが主目的であり、
コスプレ感覚で「本物のドラキュラになってみた~い!」といった理由でつかう道具ではなさそうです。
でも、未来の世界では『ドラキュラセット』とはまた違う、
「家人の招待が無いと家に入れない」「流水が何となく苦手になる」といった特徴を備えたドラキュラに変身できる、
『モンスター版コンチュー丹』みたいな道具も、どっかにありそうな気がします。
それこそ、未来のハロウィンではそんな感じの道具を使ってオオカミ男やドラキュラに変身して、
子どもたちが近所の人たちにお菓子をねだったりしているのかもしれません。
今の時期なら「アマビエ」に変身してお菓子をねだるのが、一番ウケがよさそうではある。
今年の渋谷のハロウィンでも、アマビエの仮装をした人は果たしていたんだろうか?
そういえば今回のアニメののび太くんは、
真っ昼間に学校の教室でドラキュラに変身し、クラスメイト全員の記憶を吸う大胆な犯行に及んでいた。
彼の行動が大胆すぎることも注目に値するけど、
『ドラキュラセット』はべつに昼間にドラキュラになっても大丈夫らしいことも、けっこうな発見である。
やっぱり、この道具は本格的なドラキュラに変身したい人向けの道具ではないようです。
世の中にはうっかりな人もいるので、
うっかり真っ昼間にドラキュラに変身したせいで、あっという間に日光で焼け死にされても困りますからね。
メーカー側も、機能性や訴訟のリスクを考えた上で「ドラキュラは日光に弱い設定」をあえてつけなかったのかもしれません。
日光を浴びても平気なヴァンパイア、かなり強そうな気がするぞ!
しかし、物語のほうは、
ドラえもんの鼻に貼られた十字架のかたちのバンソウコウを見たことで、あっさりと負けてしまっていた。
メーカー側の配慮(?)で、ドラキュラの弱点が従来よりもだいぶ減らされていたというのに、
けっきょく弱点を突かれて負けちゃったのは、いかにものび太くんらしい。
そもそも、人間と同じように、
ロボットから「記憶」は吸えるものなのかどうかも怪しいので、のび太ドラキュラはこの時点で既に詰んでいた可能性すらあります。
22世紀のネコ型ロボット、吸血鬼が相手ならめちゃくちゃ強かった!
こうして、ドラえもんからの返り討ちに遭い、
『ドラキュラセット』に関する記憶のすべてを消されてしまったのび太くんは、
「何かすごく便利な道具を借りてたような気がするんだけど・・・」と首をかしげるばかり。
そして、「地球最後の日」が来たんじゃないか?と思うレベルの夕焼けで部屋の中が真っ赤に染まる中、
「さあ?知らないな~」と知らんぷりを決め込みながらどら焼きを食べるドラえもんの姿で、今週の『ドラえもん』は終わっていくのでした。
■次回予告■
次回の放送は11月7日。
「カワムケルン」「ユクスエカメラ」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(誕生!?大統領のび太&マッド・ウオッチ)
次回の感想:ドラえもん感想(カワムケルン&ユクスエカメラ)