先日、井上一雄先生の「バット君」を読み返したので、
きょうはその読んだ雑感を、ちょっとだけ書いておこうと思います。
『バット君』は今から73年前(1947年)に描かれた、野球漫画の原点といえる作品。
(参考:バット君 - Wikipedia)
今でこそ野球漫画はたくさんありますが、
その野球漫画の原点であるバット君は「野球そのものの楽しさ」を描いているところが好きです。
現在の野球漫画は、主人公が超人だったとか、試合の戦略うんぬん等を描き、
「野球」というスポーツに様々なプラスアルファを付け加えることでエンタメ性を生んでいますが、
『バット君』にはそういう要素がまったくなく、ただただ純粋に「野球」を描いているところがいい。
バット君がバットを手に入れるまでにまるまる1話使っていたりなど、
今の野球漫画だったら確実に省略されていそうな描写もあえて「日常のワンシーン」として描いているところにも、作り手側の誠意も感じました。
今の野球漫画に慣れ親しんでいる自分も、
初めて『バット君』の単行本を読んだ際に、この「野球の楽しさをひたすらに描いただけの内容」にけっこうな衝撃を受けた記憶があります。
少年野球をただ淡々と描いた『バット君』の作風は、今の時代では逆に新鮮といえるかもしれません。
「寺田ヒロオ先生がこの漫画に刺激をうけて漫画家を志した」という思いもわかる気がします。
さらに『バット君』では、
作中に戦災孤児が登場したりなど、当時の時代背景を感じるところもいろいろと。
この作品が太平洋戦争が終わって2年後に描かれた漫画だと思うと、
一見ほのぼの感でいっぱいの物語でありながらも、その当時のことを考えさせられる作品でもあったり。
『バット君』は2020年の現在に読むことで、深い意味を感じることのできる作品でもありました。
そして『バット君』で気になったのが、この野球クイズコーナー。
「この3つ(きく、しし、たか)はいずれも野球に関係があるそうだが、どうしてでしょうね?」というクイズと、
「この数もやっぱり野球に関係があるのです。ハーテ?」というクイズがあったのですが、
いくら考えてもクイズの正解が一問もわからなかったので、
あきらめて「答え」を見てみたところ、
【答え】
きく (天皇杯についている)
しし (都市対抗野球大会の優勝旗についている)
たか (全国中等学校優勝野球大会の優勝旗についている)
29 (全国中等学校優勝野球大会 昭和22年までの回数)
8 (日本野球のチーム数)
17 (昭和22年度 大下選手のホームラン数)
25 (全国中等野球大会で中京-明石の延長回数)
41 (日本野球 若林選手の歳。)
という、かなり難易度の高いクイズでした。
72年前の野球少年たちはこんな野球クイズもスラスラ解いていたのかと思うとおそろしい。
さらにこれが、当時の背番号18の選手一覧です。
オールド野球ファンの方なら「あー、この頃か」とだいたいの予想がつくんでしょうかね。
自分にはさっぱりわからん・・・。
あと、この記事を書いているときに知ったのですが、
現在『バット君』は、「マンガ図書館Z」で無料公開されているようです。
てっきり、まん〇らけあたりで単行本を入手しないと読めないタイプの漫画かと思ってました。
でも、この手の名作漫画を無料で読める今の時代は素晴らしい。
みなさんもせっかくでしたら、パソコンやスマホから『バット君』を読んでみてください。
というわけで、短いですが今日は以上です。
ありがとうございました。