どうも、こんにちは。
麻雀漫画50年史(V林田/著)
5月30日に、文学通信から『麻雀漫画50年史』という本が発売されました。
<ためし読み>
タイトルや帯文でおわかりのように、
この本は『近代麻雀』などの専門誌があるにも関わらず、
これまで表立って評論される事が少なかったとされる、
『麻雀漫画』の誕生から現在までの、約50年分の歴史を紐解いた一冊。
自分も発売された直後に、即購入して読んでみたのですが、
本当に「麻雀漫画」というジャンルがこんなにも自由なものだとは思っていませんでした。
SFあり、アクションあり、よくわからないものあり・・・。
とにかく登場人物が麻雀をやっていれば、何でも「麻雀漫画」になってしまうかつ、
一般の漫画と比べて語られることが少ないせいで、我々の知らない隠れた名作・珍作が生まれやすい環境になっている!
『發の罠(※日本初の麻雀漫画とされている作品)』から『ぽんのみち』まで。
『麻雀漫画50年史』は、そんな麻雀漫画の数々を有名・無名問わず、紙幅の許す限り紹介*1しており、
この本を読めば、麻雀漫画にまったく興味のない人であろうと、
「ちょっと読んでみたいな・・・」と思えるような作品を見つけられることは間違いないでしょう。
『麻雀漫画』は麻雀のルールがわからなくても、何となく読むことができるし、
麻雀のルールを覚えた上で読めば、さらに面白く読むことができる!
さらには、70年代当時は漫画界の辺境ジャンルにすぎなかった『麻雀漫画』が、
何故、一般誌でも数多くのヒット作を生み出せるほどの一大分野になれたのか?といった歴史も、この本を通して学べるのが嬉しい。
『麻雀漫画50年史』を読めば、その理由はわかりますが、
『スーパーヅガン』の片山まさゆき先生は麻雀漫画界において、ほんとうに偉大な作家さんだったんですね・・・。
そんな、数々の麻雀漫画を生み出してきた土壌である、
「麻雀漫画の出版界隈」も、実はなかなかにおかしかった事も判明。
創業当時の竹書房のデタラメすぎた経営体制、
麻雀ブームで「麻雀漫画専門誌」が15誌同時に刊行されていたあの頃、
返本された麻雀漫画の単行本のカバーを付け替えて再販する出版社、
返本された麻雀漫画の雑誌を糊で貼り付けてB5判の単行本として発売する出版社、
雀鬼流に傾倒しすぎた、末期『近代麻雀ゴールド』の誌面構成などなど・・・。
どれも『麻雀漫画50年史』を読んでいなければ、
一生知ることがなかったかもしれない、衝撃のエピソードばかりです。
でも、こういう麻雀漫画の歴史の裏に隠されたトンデモっぷりも、
なんだか『麻雀』という娯楽に関わる出版社っぽくていいじゃないですか・・・ダメ?
とにかく『麻雀漫画50年史』は、
「読むだけで麻雀漫画50年の歴史がだいたいわかる!」と言っても過言ではないくらいの情報量と、
この本の作者であるV林田さんの「麻雀漫画への愛」が詰まっているのですが、
その麻雀漫画への「愛」と「情報量」を詰め込み過ぎたあまり、
『麻雀漫画50年史』は全564ページ、価格が2400円(税抜)と、
一般人が手を出すにはなかなかハードルの高い一冊になってしまったのが、この本唯一のネックでしょうか。
しかも、「麻雀漫画愛」や「情報量」だけじゃなく、
1ページの中に、文字もパンパンに詰まっていますからね。
実際に『麻雀漫画50年史』のページを開いてみて、その文字量の多さに驚くがいい。
ちなみに、自分も本を読むのはかなり早いほうだとは思っているのですが、
『麻雀漫画50年史』に関しては、最後まで読むのに合計で5時間くらいかかりました。(実話)
とはいえ著者である、V林田さんの書く文章自体は面白いので、
その気になれば、564ページあってもイッキに読めてしまう本だとは思います。
皆さまも興味がありましたら、本屋さんで『麻雀漫画50年史』を購入して、
564ページ一気読み・・・はさすがにキツいと思うので、まずは興味のある項目から読んでみてください。
???「お前ら、564ページすら・・・読めないのか ――― 」
『麻雀漫画50年史』 刊行記念トークイベント
というわけで、『麻雀漫画50年史』は非常にオススメな一冊だったのですが、
この本で「麻雀漫画」に興味を持ち、さらに知識を深めてみようと思ったため、
先日都内某所で行われた「『麻雀漫画50年史』 刊行記念トークイベント」にも足を運んできました。
<外部リンク>
このトークイベントでは、
V林田さんが過去に同人誌で復刊させた『牌は泣いている』『ハガキ麻雀』の話、
昔の麻雀劇画、麻雀牌投げすぎ問題(個人的には「そういえばブラック・ジャックも商売道具であるメスをよく投げてたなあ~」とか思ったり)や、
隠れた名作・珍作麻雀漫画(『無法者』『花引き』)の話、
雀鬼流に傾倒しすぎた、末期『近代麻雀ゴールド』(無限のエネルギー)の話など、
本当に面白い麻雀漫画トークの数々が聞けましたし、
いくら面白くても、麻雀漫画の歴史書である『麻雀漫画50年史』に載せる必要は全くなさそうなエピソードばかりだったのもよかったです。
あれだけ分厚い本を出しても、麻雀漫画はまだまだ語り切れないものなんですねえ。
麻雀漫画の歴史は、これからもずっと続いていきます。
・・・で、このブログはあくまでも「藤子不二雄関連について語るブログ」なので、
最後に『麻雀漫画50年史』における、藤子不二雄関連の話題をひとつ。
『麻雀漫画50年史』54ページより(※画像を加工しています)
じつは『麻雀漫画50年史』のとあるページで、藤子不二雄A先生の名前も登場しています。
どういった感じで触れられているかについては、自分の目で確かめてくれ!
他にも、本書の内容とはほぼ関係のない「タイトルだけの登場」とはいえ、
『プロゴルファー猿』『ドラえもん』の名前もどこかに出ているので、気になる人は探してみてくださいね。それでは。
トークイベントで著者・V林田さんのサインもいただきました。いいでしょ~?
*1:数字で表すと、作家等=405項目・作品=474項目、合計879項目にも渡っているとのこと