2022年9月17日放送分 ネタバレ注意!
のび太漂流記(コミックス6巻収録)
今週の一本目は、遅れてきたこの夏最後の大スペクタクル!
『ドビンソンロビンソン漂流記』に影響され、自分の力を試したくなったのび太くんが無人島へ旅立とうとするお話です。
「のび太くんと無人島」といえば、家出のつもりではじめた無人島生活が、
ひょんなことから10年も続いてしまったエピソードが有名ですが、
今回アニメ化された、たった半日ほどで無人島生活をギブアップしたエピソードも存在しています。
10年暮らした回(『無人島に家出』)が「有名な無人島エピソード」とするのなら、
この『のび太漂流記』のお話は「マイナーなほうの無人島エピソード」ってことになりますね。
最近のYouTuberじゃないんだから、無人島生活は人生でそう何回もやるもんではないぞ。
誰にも頼らず、自分の力だけで無人島生活を行いたかったのび太くんは、
無人島に行くためのイカダも、当初は使用済みの割り箸を組み合わせたものから作り出そうとしていた。
「SDGs」の観点から見れば、廃材を利用したイカダは非常に素晴らしいけど、
ドラえもんが指摘していたように「イカダを作れるだけの割り箸を集めるまでにどれだけかかるかわからない」という理由から、やむなく断念。
無人島までの行程は、ドラえもんの『風船いかだ』を頼ることとなりました。
いきなり「他人に頼らない」というテーマが崩れてしまったような気がするけど、大丈夫か?
ちなみに、Yahoo!知恵袋の質問によると、
「割り箸で人間が乗れるほどのイカダ」を作るには、10000膳もの量の割り箸を用意する必要が出てきてしまうらしい。
1日5膳のペースで割り箸を集めたとしても、約5年以上かかってしまう。
1万本の割り箸を集める以外にも、割り箸を接着する技術なども考えたら、小学生にはとても難しい大工作である。
夏休みの自由研究だったら、人を乗せて水に浮くことができるイカダを完成させただけでも先生にホメられてしまうレベルのDIYですよ。
本当にのび太くんが「割り箸イカダ」を完成させようとしていたら、
おそらく1~2日ほどで無人島行きを諦めてそうだったので、ドラえもんの助言があって、本当によかった!
のび太くん自身は最後まで気づいていないようだったけど、
今回の無人島生活のほとんどが、ドラえもんのサポートによって成立していた。
無人島に到着するまでのルートから、衣食住の確保まで。
のび太くんもクリームパンそっくりの木の実が生えていた段階で、何者かの作為に気づいていてもよかったのに。
そんな簡単なトリックにも気づけないところが、のび太くんクオリティーなのである。
あまりにものび太くんが、ドラえもんのサポートの存在に気づかなかったので、
「のび太くんがドラえもんの裏回しにいつ気づくかドッキリ」というパッケージでも成立しそうなほどの、コントっぷりであった。
あんな無人島生活におあつらえ向きな植物が出てくるの、『みどりの守り神』以外じゃまずありえないぞ。
ちょっとくらいは、のび太くんを泳がせておいてもよかったのに。
このままだと生命の危機にかかわるとか、そういう状況以外だったら、
彼が気のすむまでたっぷりと弱音を吐いてから、どんな行動を取るのかも見てみたかった。
ドラえもんもなんやかんやで、のび太くんに甘いところがあります。
こうして約半日の無人島生活を終え、ママのいる自宅へと帰ってきたのび太くん。
無人島で得られた経験を活かし、ウソと本当の中間くらいのエピソードトークを語ることで、ジャイアンやスネ夫をアッと言わせてしまうのでした。
ううむ。のび太くんがあの無人島で心身ともに成長したかどうかはわからないけど、
とりあえず、トーク能力だけは抜群に成長していそうだ。
さすがホラのびさんをご先祖さまに持っているだけのことはあった。
今回、のび太くんが無人島生活をするキッカケとなった『ロビンソン漂流記』だって、
ほとんどが史実を元にしたフィクション小説である。
(あの作品の続編は、アジア大陸を横断する話になってるらしいぞ。)
『ロビンソン漂流記』の作者とちがって、
のび太くんはちゃんと無人島まで行ったんだから、トークをちょっと盛るくらい許されてもいいでしょう。
でも、「俺は無人島マスターだ」「俺は無人島に愛された男」など、
あまりにもビッグマウスな発言をしすぎると、真相がバレた時に思いっきり叩かれてしまうので、いくら何でも調子には乗りすぎないように。
というわけで、一本目の感想はここまで。
タヌ機(コミックス7巻収録)
今週の2本目は、2014年10月24日放映分の再放送。
次世代デジタルカメラの加工技術で自分の顔をタヌキにされるおちょくりをされたドラえもんとのび太くんは、
そのお返しにと、スネ夫を『タヌ機』で化かしてやろうとするのですが・・・。
自分の顔をタヌキ呼ばわりされたのび太くん&ドラえもんであるが、
そんな彼らの顔をバカにしていたスネ夫の顔は、キツネにそっくりである。
まさに「目くそ鼻くそを笑う」「争いは同じレベルの者同士でしか発生しない」を地で行くような言動だ。
もしも、のび太くんに煽りスキルがあったら、
確実に「俺の顔はタヌキだけど、そういうお前の顔はキツネだ」と、発言をブーメランで返されていたぞ。
あまり考えもせずに、相手を煽ってはいけない。
『タヌ機』の催眠効果はおそろしく、
道具の効果で化かされたスネ夫が雑巾をしぼったばかりのバケツの水をがぶ飲みするという、かなりの衝撃映像を茶の間にお届けしてしまった。
でも、話によっては、タヌキに化かされて馬のフンを食わされたケースもあることも考えたら、
バケツの水を飲まされる程度など、まだ罰が軽いほうなのかもしれません。
これに懲りたら、もう二度と人の顔をタヌキ呼ばわりするなよ!
また同じようなマネをしたら、今度こそ食糞だからな!
このまま原作通りに、スネ夫を化かすだけで終わればよかったのですが、
調子に乗ってボーナスステージとばかりに、ジャイアンまで化かそうとしたのがよくなかった。
スネ夫がびっくりしていた「和風狸空間(わふうたぬきくうかん)」も、ジャイアンにはまったく効果が無い上に、
「最後の切り札」としてドラえもん達が変身した巨大タヌキも、逆に返り討ちとなってしまう。
スネ夫にタヌキだと馬鹿にされて怒っていた自分たちが、
話の流れで本当にタヌキになっちゃうの、なんだか試合に勝って勝負に負けた感が半端ないですね。
いや、巨大タヌキに変身しても、ジャイアンに負けちゃったんだから、
試合にも負けて、勝負にも負けたかたちになっちゃうか。
なにひとつ、いいところがない!
最終的には、ジャイアンに顔をボコボコに殴られたことで、
ママからも「タヌキみたいな顔」認定をされてしまう、ドラえもんとのび太くんなのでありました。
といったところで、今週のドラえもん感想は以上です。
■次回予告■
次回の放送は9月24日。
「四次元たてましブロック」「あんしん!ジャイアン保険」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(カムカムキャットフード&裏山のドラえもん城[再])
次回の感想:ドラえもん感想(四次元たてましブロック&あんしん!ジャイアン保険[再])