2022年5月28日放送分 ネタバレ注意!
地図ちゅうしゃき(コミックス第45巻収録)
地図で刺した場所に品物を送り届けられる道具『地図ちゅうしゃき』の存在を知ったのび太くん。
「労働の尊さを学びたい」「汗を流して働いたお金で買ったおやつを食べたい」との名目のもとに、
格安のお値段で宅配を行う新会社『ドラねこきゅうびん』を立ち上げますが、なかなかうまくいかなくて・・・?
べんりな道具ひとつ見つけただけで、すぐに起業を思い立つのび太くんは本当にすごい。
きっと『未来の国からはるばると』の時も、こんなノリで自分の会社を立ち上げちゃったんでしょうな。
異論はあるかもしれませんが、ビジネスパーソンにとって「行動力」は非常に重要なスキルです。
ただ、普段は何やかんや言いつつも道具を貸してくれるドラえもんも、
「(この道具は)使い方が難しいから貸さない」と拒否の姿勢を見せてしまうほどだけあって、
のび太くんのような初心者が『地図ちゅうしゃき』を使う時は、
付属(?)の虫メガネで地図を覗かないと、目的の場所へまともに荷物すら送れないという、非常に扱いの難しそうな道具であった。
さらに、注射針の指し方の「強弱」にも、いろいろとコツがいるようで、
注射針の刺し方が浅すぎると、お届け先の屋根の上に荷物が散乱するだけになり、
逆に刺し方が深すぎると、お届け先の部屋の地下に荷物が埋まってしまう、非常にシビアな仕様となっている。
『地図ちゅうしゃき』で、一軒家に荷物を送るぶんにはまだマシそうだけど、
マンションや団地に荷物を送り届けるときは、達人並みのスキルを要求されてしまいそうだ。
あの道具で、荷物を「4階建てマンションの2階」に送りたいときはどうするんだろう?
「針を刺したときのわずかな音の違い」だけで、届く階数を判断するとか?
のび太くんは、一軒家に荷物を送るだけでもあんなに四苦八苦していたのに、
「サンシャイン60の28階に荷物を送りたい」といった無理難題が寄せられてしまったら、完全にお手上げになってしまうぞ。
こうして「階数のある住居に荷物を送り届ける難しさ」を考えてみると、
お話の冒頭で「学校内ののび太くんの机の上」にピンポイントで宿題を届けていたドラえもんは、
『地図ちゅうしゃき』の使い方が、抜群にウマかったんですね。
さりげなくやっているように見えて、あの配達方法は熟練じゃないとできない技だ。
一歩間違えれば、のび太くんの宿題が教室のコンクリの床に埋まっていた可能性もある。
やはりロボットたるもの、ひみつ道具の使い方は人間より正確なのかもしれませんね。
さすがプロだ。ちがうなあ・・・。
新会社『ドラねこきゅうびん』の顛末の「末」までは描かれていなかったけど、
上記の「集合団地宅配問題」や、のび太くん1人ではまともに荷物を届けられてなかったことを考えると、あの会社はわりと早めに廃業になっていそうだ。
あの会社における配送トラブルがジャイアンひとりで終わったのは、不幸中の幸いでした。
あと、スネ夫くんから借りたマンガ本が土まみれになってしまったけど、その責任はどう取る?
『地図ちゅうしゃき』は、そんな使いづらそうな仕様もあってか、
一部ドラえもんファンの間では、作中のしずかちゃんから「どこでもドアで運んだほうが早いんじゃないの?」と、
メタフィクションなツッコまれ方をされてしまったことでも、お馴染みな道具だったりします。
この『地図ちゅうしゃき』のお話が単行本に収録されたのは、原作『ドラえもん』の最終巻である第45巻。
(雑誌の初出は「小学二年生」1985年12月号。)
連載初期の頃は似たような道具を出しても、とくに何も言われなかったのに、
アニメが放送されはじめた頃になってくると、
目の肥えた読者達から「どこでもドア使ったほうが便利だろ」みたいな指摘や投書が、藤子F先生のもとに届いていたのかもしれません。
原作の『地図ちゅうしゃき』の回で、しずかちゃんがあのような発言をしたのも、
「お前らに言われなくてもワカってるっつーの(要約)」という、全読者に向けた、藤子F先生のメッセージだったりする可能性もありますね。
まあ、これはあくまで自分の妄想にすぎないですが・・・。
というわけで、一本目の感想はここまで。
おもかるとう(コミックス26巻収録)
ジャイアンとのび太くんが『尻相撲(しりずもう)』をすると、のび太くんは紙くずのようにフッ飛ばされてしまう。
のび太くんの体は、目測でも5メートル以上は吹っ飛んでいるように見えたけど、
体重差があるとはいえ、いくらなんでもあんなに飛ぶもんなんだろうか?
のび太くんが貧弱すぎるだけなだけなのか、
ジャイアンの尻力(けつりょく)がスゴ過ぎるだけなのかは、専門家の判断を待ちたいところです。
今回のお話の主役となる道具『おもかるとう』は、様々なものの重量を重くしたり軽くしたりする道具であり、
まずはデモンストレレーションとばかりに、ママの体重を2キロ軽くしてみせた。
体重が減ったことで、ママはとても喜んでいたようだけど、
それはあくまでも「物体(ママの体)の質量」が2キロ減っただけであって、脂肪やプロポーションは一切変わってないことを忘れてはいけない。
『おもかるとう』があれば、体重100キロのブヨブヨボディでも、
体重計のスコア自体は「体重50キロ」をキープし続けることができそうだけど、果たしてそれはいいことなんだろうか?
一番大事なのは体重ではなく、全体のプロポーションだと思うんですけどねえ。
とりあえず、ママがやっていたような「ご飯を食べないタイプのダイエット」は、不健康になってしまうのでやめといたほうがいいですよ。
『おもかるとう』を手に、街へ繰り出したドラえもんとのび太くん。
のび太くんの近所には、運んでいるソファが重くて困っている人や、
しずかちゃんのカナリアが逃げ出していたりと、いかにも『おもかるとう』が役立ちそうなトラブルが盛りだくさんだ!
『おもかるとう』は、ダイヤルによる重量の設定がそこそこシビアらしく、
自分の求める重さがちょっとでも違うと、大惨事になってしまう。
しずかちゃんの逃げたカナリアを捕まえる際も、なんやかんやで公園に生えている巨木を1本倒壊させてしまう形(かたち)に終わっていた。
なお、これは余談ですが、その時のTwitterの実況を見ていたら、
「キー坊に今日の回見せるぞ畜生のび太」というツイートがあったので、思わずふいてしまいました。
アレを見られたら、またしても植物星人に地球の植物を全部持っていかれてしまいそうでならない。
場所はかわって、今度は野球グラウンドの使用権をかけた、
チラノルズとジャイアンズの三番勝負に巻き込まれてしまうのび太くん。
メンバーの起用についてはジャイアンの勝手だけど、
「体力」や「野球の才能」がカギを握ってきそうなバトルに、のび太くんを起用するのはどうなんだ?
のび太くんを使うくらいなら、他のジャイアンズメンバーを使ったほうがいいと思うのですが、それは。
勝負のほうは『おもかるとう』で有利になる対決などもあったため、
のび太くんがなんなく勝ったり、スネ夫くんの足を引っ張ったりしましたが、
最終的な結果としては、ジャイアンが『おもかるとう』とまったく関係ない「早口言葉バトル」で敗北したため、
グラウンドの一カ月使用権は、無事チラノルズの手にわたりました。
このチラノルズとの戦いは、原作にはない展開なんですが、
おそらく、アニメの足りない尺を埋めるために発生した勝負なんでしょうね。
本編の流れととくに関係のなさすぎるバトルだったので、逆に見ていて清々しかったです。
そして、チラノルズに早口言葉で負けたことがくやしかったジャイアン。
唐突なまでに、のび太に尻相撲(しりずもう)の再戦を申し込んだぞ!
ちなみに、ジャイアン達の尻相撲対決は「おしり・・・クラ~ッシュ!!」と叫びながら、ケツをぶつけ合わせるのがルールである。
これがほんとうの「対ケツ(たいけつ)」ってやつですね。うまい!
自らの体重を増やしたことで、ジャイアンを返り討ちにするのび太くんでしたが、
何も知らないドラえもんが「『おもかるとう』返して!」と言いながらやってきたため、手の内があっけなくバレてしまう。
全てを知ったジャイアンも『おもかるとう』でウエイトを増して、ケツの威力をパワーアップだ!
体重増加をはやし立てるスネ夫くん。
彼らの反応を尻目に『おもかるとう』で体重を増やし続けるジャイアンでしたが、
体重を増やし過ぎた結果、自らの体が地中に沈んでいってしまうオチがついた。
地中に沈むジャイアンに、スネ夫まで巻き込まれていた姿を見て、
映画『クレヨンしんちゃん ブリブリ王国の秘宝』での、ミスターハブの最期を思い出してしまいました。
この道具をつかえば、人類初の単独無酸素でのマントル到達ができるかもしれませんね。
でも、『地底の国探検』の回によると、
マントルを抜け、空き地のずっと地下深くまで落っこちていけば、地球の裏側にあるマヤ族の遺跡に到達するらしいので、
何かしらの対策をしておけば、『おもかるとう』の効果だけでメキシコまで行けてしまったりして。
『おもかるとう』は、体重を増やすだけの道具ではないのかもしれないぞ。
といったところで、今週のドラえもん感想は以上です。
●ドラドラニュース●
「ジャイアンリサイタルTシャツ募集」の優秀賞を発表だ!
どのTシャツも、子供らしい自由な発想のデザインなのがいいですね。
本放送以外にこのページでも紹介されているので、気になる方はご覧ください。
個人的には「BOE VOICE FOR YOU」の文字がプリントされた、MONMONさんのTシャツが好みです。
「BOE VOICE」って、一体どういう意味なんだ?
今週もEDで「ドラえもん・えかきうた」が流れたので、一筆啓上。
頭がいたい状態で描いたら、なんかフニャフニャなドラえもんが出来てしまった。
■次回予告■
次回の放送は6月4日。
「うつしぼくろ」「ロボッターの反乱」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(ママのダイヤを盗み出せ&ポケットの中のしずかちゃん[再])