2021年11月27日放送分 ネタバレ注意!
ひろびろ日本(コミックス21巻収録)
今週の1本目は、『ドラえもん』が現代住宅事情にするどく切り込んだ一作!
自分たちがせまい家にしか住めないのは、日本の土地価格が高すぎるせい!
それならば『ひろびろポンプ』で日本列島を大きくして、土地の価値を下げちゃえばいいんだ!
「土地がないなら日本列島をまるごと大きくすればいい」という大胆すぎる発想のもと、
日本列島を太らせたのび太くんは、広々とした住みやすい暮らしを手に入れようとするのですが・・・。
はじめてこの原作を読んだ子供のころは、何も考えずにケラケラ笑いながら読んでいましたが、
大人になった今、あらためてこの話と向き合ってみると、
後述の異常気象以外にも、領海うんぬんなど、いろいろめんどくさいことが起こりそうな気がするので、
見ているこっち側がちょっと心配になってくるエピソードである。
そりゃドラえもんも混乱が起こらぬように、事前に『狂時機』で対策をしているわけだ。
小学生たちのちょっとした思いつきに、世界中の人たちを巻き込んではいけない。
でも「実際に日本列島を太らせるとどんなことが起きるのか?」については、
地学や海洋学など、各分野の有識者にインタビューしてみたら、いろいろと興味深い話が聞けそうな気がします。
いつか、「ドラえもんチャンネル」の特別企画とかで実際にやってくれないかしら。
そもそもドラえもんは、「土地を広げたい時に使える」という、
よく考えたら使用範囲がものすごく狭そうな道具をなんで所有しているのかも、非常に気になるところです。
何故かドラえもんは、まず一般家庭では使わなさそうな、
岩盤を溶かすための道具である『強力岩トカシ』を持っていたりもするので、もしかしたら土地開発マニアとしての一面も持ち合わせているのかもしれません。
さすが2021年現在、ドラえもんは「戸田建設」のCMに出演しているだけのことはある。
土地開発も建設事業も、大きく見ればだいたい同じようなもんだ!
日本全体が広くなったことで、
野比家のような庶民でも、広い家を建てられる可能性はグッとアップしたように感じられましたが、
その代わり、のび太くんが学校に行くまでの通学時間も、
通常の15分から2時間半にアップしてしまったりと、移動面でかなりの苦労を強いられていた。
このサイトによると、不動産業界の定めでは「徒歩15分=約1.2km」となっているらしい。
ということは、単純計算で、
これからのび太くんは学校へ行くために、毎朝片道12キロの道のりを歩まないといけないことになる。
家から異様に遠い学校、ACジャパンのCM*1とかで見たことあるやつだ。
とくに遅刻癖のあるのび太くんにとっては、実質毎朝12キロダッシュしないといけなくなるので、かなりキツいでしょうなあ。
あんな長距離なら、せめてチャリ通を解禁してほしいところですが、
自転車に乗れないのび太くんにとっては実質無意味な制度になるので、けっきょくは頑張って歩くしかないのか?
土地を広くしてしまうと、スーパーや学校、会社に行くのもひと苦労になってしまう。
とはいえ、あれくらいの不便さなら、
普段は自動車を足代わりにしているような田舎に移住したと思えば、割とすぐに慣れると思います。
田舎暮らしにとって、簡単に10キロ単位の移動ができる自家用車は必要不可欠。
そう考えると、ドラえもんがヤケクソ気味に言っていた「そのうちバスが通る」発言も、あながち間違っていないんじゃないかと。
でも、日本国民全員が車に乗り始めたら、
今でも充分に高いガソリン代が、さらに高くなってしまいそうなので怖い。(時事ネタ)
「風が吹けば桶屋が儲かる」のように、
日本を広くすると、燃料代が比較的安価な電気自動車が全国で普及する未来が待っていたりもするのか?
そんな、交通手段のアレコレを考えているうちに、
異常気象でのび太くんの家の周辺どころか、日本じゅうがカチコチに凍ってしまった。
一晩ですべてが凍ってしまう理屈はよくわからないけど、
日本列島を大きくすると、『南極カチコチ大冒険』でおなじみ(?)のスノーボール・アース現象が起こってしまう・・・!?
いちおう原作では、海面上昇で日本が沈没する展開になっていたのですが、
現在、日本各地で水害が多数発生していることを考慮して、今回のような日本カチコチ展開に変更したのだと思われます。
日本中が氷漬けになった世界では、
『ひろびろポンプ』を引っこ抜くのにも、いちいち『氷ざいくごて』等の道具を使わなければいけないので、なかなか大変だ。
ドラえもん達が、氷の世界で『氷ざいくごて』を使いはじめたせいで、ますます『南極カチコチ大冒険』っぽい展開になってきましたね・・・。
「小説 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険」発売!2017年公開の大ヒット映画をノベライズ!ロマンチックな物語を、ぜひ小説でもう一度味わって下さい。 https://t.co/gFBjIUb2JC pic.twitter.com/qV39aVFShR
— 【ドラえもん公式】ドラえもんチャンネル (@doraemonChannel) 2021年11月28日
なお、この回の放送前日に『のび太の南極カチコチ大冒険』のノベライズ本が発売されていたりもするのですが、
今回のお話の終盤がなんとなく『カチコチ大冒険』ぽかったのと、なにか関係があったりするのだろうか?
これで本当にステマとかだったら、なんかイヤだなあ。
かくして、日本列島は元の形を取り戻し、
のび太くんはふたたび、いつもの狭い家(借家)で暮らし続けることとなった。
やはり「土地がないから」といって、土地を無理やり広げるのはやめたほうがいいようです。
なので今度は土地ではなく、『ウルトラQ』の「1/8計画」のように、
自分たちの体を小さくするというのはどうでしょうか。
それこそ、来年3月4日公開予定のあの映画のように・・・。(ダイマ)
というわけで、1本目の感想はここまで。
●ドラドラニュース●
2本目のお話がはじまる前に、12月1日配信開始の「ドラえもんチャンネルアプリ」の宣伝が流れました。
いかにも、スネ夫らしい感じが出ていてイイですね。
オンボロ旅館をたて直せ(コミックス32巻収録)
今週の2本目は、2005年12月31日放送分の再放送。
約6年前のお話の再放送なので、作画も今とちょっとだけ違ってるぞ!
ここ最近は再放送をやるといっても、せいぜい2~3年前のお話ばかりだったのに、
なんで今週は、急にこんな古いエピソードを持ってきたんだろう?
お客さんがやってこないオンボロホテルの主人をあわれに思ったのび太くんが、
つぶれ屋・・・じゃなかった、「HOTEL つづれ屋」を立て直そうとするお話。
6年前にリアルタイムで見ていた時はなんとも思っていませんでしたが、
のび太くんが家出をしたら雨が降ってきたり、
小学生の身でありながら「ホテルで働かせてください」と言ってみたりなど、
いま見ると、このお話は『天気の子』と『千と千尋の神隠し』が混ざったような内容であることがわかる。
もしかしたら、新海誠監督も、
6年前にこのお話を見たことで『天気の子』のアイデアを思いついたのかもしれないぞ。(適当発言)
創業300年の歴史を誇る「つづれ屋」は、
風呂の湯すら出ないほどにオンボロの旅館であり、そのせいでお客さんすら来ない有様でしたが、
ドラえもんの『カムカムキャット』のおかげで、お客さんがやってくるようになり、
さらに、ホテル利用客に『ソウナルじょう』を飲ませることによって、
「ちゃんとお風呂のお湯が出て、豪勢な食事でおもてなししてくれるホテル」のように見せかけることもできた。
何も知らずに空の浴槽でくつろぐお客さんの顔を見ていると、
なんだか不誠実を働いているように見えて、非常に心苦しく感じますが、
ここでホテルが潰れてしまうよりかはずっとマシだ!・・・ということにしてもらいたい。
あのお客さんが、あとで風邪を引かないことを祈っております。
そもそも、つづれ屋みたいなボロホテルに実際に泊まるよりも、
どっかの公園で『ソウナルじょう』を飲んだ後に『豪華ホテルに泊まったつもり』とか言っちゃえば、ホテル代すらいらなくなっちゃうような気もする。
『ソウナルじょう』さえあれば、
ホテル代や食事代もかからない、究極の貧乏旅行ができてしまうかもしれないぞ。
それどころか、自宅で『ハワイに行ったつもり』と思うだけで、
家から一歩も出ずして、ハワイ旅行気分を味わうことすらできちゃいそうだ。
・・・もしかして『ソウナルじょう』って、今のステイホーム生活にピッタリな道具だったりするんだろうか?
こういうオンボロ旅館も、今なら貧乏旅行したい人や海外バックパッカーとかが泊まりそうな気もするけど、
— koukousei(美山田精一)@スパムじゃないよ (@koukousei) 2021年11月27日
それでも泊ってる人がいないところを見るに、きっと宿泊料金を頑なに下げてなかったりするんだろうな #doraemon
あと、上のツイートみたいなことも考えたりしたのですが、
「つづれ屋」にお客さんが来ないのは、オンボロホテルなのに宿泊料金がそこそこ高かったりするから・・・という可能性もありえる。
創業300年にあぐらをかいて、宿泊代だけは一流ホテル並みの料金を取っていたりしていそうだ。
どうせお客さんも来ないんだから、
ここは思い切って、創業300年にちなんで、宿泊料金も300円にしちゃえばいいのに。
ためしに、ネットで見つけた「宿泊料金が300円のホテル(ドヤ)」の様子も見てみたのですが、
つづれ屋に泊まるよりも快適そうな感じだったのが、ちょっと複雑でした。
物語のラストでは、つづれ屋主人とその息子・19エモンが再会を果たして無事ハッピーエンド。
19エモンさんは、後の21エモンのおじいちゃんにあたる人物となりますが、
若い頃はホテルを継ごうとせずに家出をしてしまうほど、ヤンチャをしていた時期があったんですねえ。
のちに、ホテルを継がずに宇宙パイロットを目指すようになる孫とソックリな性格だといえば、そうなるのかも。
そんなわけで、今回のお話は『21エモン』との間接的なコラボ回でもあったわけですが、
今の子どもたちで『21エモン』を知っているキッズはそんなにいなさそうなので、
おそらくテレビの前のちびっ子たちは、「つづれ屋」の元ネタすらわからなかったかもしれません。
まあいずれ、大人になってから、今回のお話の「元ネタ」に気づいて、ハッとしていただければ幸いかと。
といったところで、今週のドラえもん感想は以上です。
■次回予告■
次回の放送は12月4日。
「ドラえもん&パーマン危機一髪!?」「大予言・地球の滅びる日」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(のび太とのび太&アトカラホントスピーカー[再])
*1:「アフリカの子供たちは~」みたいなアレです