10月21日発売、ヤングジャンプ第47号掲載『イビルヒーローズ』第19話の感想です。
ネタバレもありますので、未見の方は注意してください。
グラファイト・アームに妹を人質に奪われた影響でなかなか手が出せず、
ヒデオくんがグラファイトの攻撃を食らい続けてしまう、一方的な展開が続いているこの戦い。
このまま相手が隙を見せるまで、消耗をしていくのか。
それとも、グラファイト・アームを倒すために、妹・ゆつきをあきらめるか。
この究極のトロッコ問題に対し、ヒデオくんは決断の時を迫られていた。
それにしても、
前回ラストから冒頭にかけての、シルバーのあの発言はなんだったんだろう?
あの問いかけから何かが始まるのかと思っていたら、
まさかの同意で終わってしまったので、なんだか肩透かしを食らったような気分だ。
でも、後の展開を見るに、おそらくシルバーは、
第1話の時にヒデオくんを救った時の思い出を引用しつつ、それなりに話をしたかったのかもしれない。
まだ、グラファイトを倒す決意が固まらずにいるヒデオくんに覚悟を決めさせるために、
あえてブラフをかけるような発言を行った・・・という、見かたもできそうではある。
ただ、その一連の問いかけで、
けっきょくシルバーがなにを言いたかったのかが、今ひとつよくわからなかったせいで、
彼が、緊迫の状況下でただ単に天然発言をしちゃった人のように見えてしまうのが、なんとも惜しい。
もうちょっと頭のなかで話をまとめてから、発言をするべきだった。
でも、これまでのお話を見てきた印象から考えると、
この時のシルバーは、本当に何も考えないまま発言をしていた可能性もある。
もうすぐ連載も20話目になるというのに、
自分は、いまだにシルバーがどういう思考をしているのかがさっぱりわかっていません。
そんな主人公でも答えの出せない「トロッコ問題」に対し、
シュウジくんが提示した「あえて、窓の防護シャッターを開けてしまう作戦」は、まさに一筋の希望だったといえましょう。
学園の外にマスコミや民衆があつまっている、衆人環視の中でなら、
「英雄」という立場上、さすがのグラファイトも人質を解放せざるを得ないだろうという、目論見である。
防護シャッターシステムへのハッキング自体はリツカちゃんがやっているので、
シュウジくんは実質何もやってないに等しいのですが、相当に自信のある作戦だったのか、完全にドヤ顔をきめている。
何もやっていないけど、この場の手柄はすべてシュウジくんがもらっていくぞ!
とはいえ、ふくりゅうの家サイドで、グラファイトが動揺するほどに、
ハッタリを利かせるトークができるのはシュウジくんしかいなさそうので、この場の手柄をもらってしまうのは、まあ、仕方のないことかと。
シュウジくんは戦闘スキルこそまだ未熟だけど、持ち前の「べしゃり」が最大の武器だ!
そんなわけで、グラファイトがおとなしく敗北を認めれば、
今回の事件も無事解決となったわけなのですが、
「マスコミも野次馬もきさまらも」「塵に変えればだんまり ・・・そうだろ?」という理屈で、
辺り一帯を巻き込むほどの総攻撃を企てようとし始めたので、事態は急速に悪い方向へと向かってしまう。
たしかに、周囲の民衆やマスコミたちが全員死んでしまえば、
グラファイトの今回の行動はすべて無かったことにできそうだけど、SNSなどによって、何やかんやで噂は広まってしまいそうな気がする。
いや、第6話によると、
この世界における、英雄の悪いウワサはすべてネット上で検閲されているそうなので、
むしろ、英雄が自らの悪事を拡散されたくない時は、今回のグラファイトのような行動を取るのが一番正しいのかもしれない。
自分の過去の悪事やセクハラ発言の責任を取りたいのなら、
せめて、周囲を巻き込まないように自決をしてもらうなりすればまだ潔かったのに、やっぱりグラファイトは最後の最後まで往生際の悪い奴だった!
あと、こうなってしまった以上、
この状況を引き起こすキッカケになったのはシュウジくんの提案からなので、現時点ではシュウジくんが一番悪いってことにもしよう。
このグラファイト・アームの醜態を目の当たりにしたことで、
ようやくグラファイトを、光線でやっつける決心がついた様子のヒデオくん。
しかし、ヒデオくんが繰り出そうとしている光線は、
トンネルを破壊するほどの威力(第3話)がある一方で、自分で出力が制御できない欠点を持っていた。
光線の出力調整に失敗したら、周りの人たちが全滅してしまう状況で、
はたしてヒデオくんは、グラファイト・アームを退治できるほどの、ちょうどいい威力の光線を出すことができるのか?
といったところで、物語は次回につづきます。