2021年2月6日放送分 ネタバレ注意!
山おく村の怪事件(コミックス第7巻収録)
「家のうらでやっている工事がうるさすぎてゆっくりできない」と嘆くパパとママ。
そんな2人のために、のび太くんとドラミちゃんは結婚記念日のプレゼントとして、「しずかでゆっくりできる場所」として見つけた山おく村へ招待してあげることに。
雪に囲まれた集落の村でのんびりと休日を過ごすのび太くん達でしたが、
謎のあやしい人影がこちらをたびたび覗き込んでいることに、まったく気づかずにいた・・・。
一応言っておきますが、いくら廃村の民家とはいえ、
今回のび太くん達がやっていることは、不法侵入に当たる可能性がある。
良い子のみんなはどこでもドアで田舎に行ったとしても、かってに民家に住みだしたりしないようにしましょう。
今回のお話の原作はドラミちゃんしか出てこないお話であり、
本来であれば、ドラえもんの出番は一切無いのですが、いつものように無理やり出演を果たしています。
まあ、主人公のひとりですからね。
山おく村にパパとママを招待したときにドラえもんが自信満々で語っていた、
「この町にネズミは一匹もいなかった情報」は、謎の信頼感がありました。
山おく村に着いて早々、のび太くんは足が雪面に埋もれてうまく歩けずにいましたが、
ドラミちゃんが靴に塗るだけで雪面を楽に歩くことが出来る『かんじきクリーム』を出してくれたおかげで、全てが解決となった。
『かんじきクリーム』は「豪雪地帯や雪山でしか使えなさそう」という印象を強く受けましたが、
逆に言っちゃえば、豪雪地帯や雪山に来たからこそ使ってみたくなるクリームである。
『おもかるとう』で雪面でも歩ける程度にのび太くんの体重を軽くしようとしたドラえもんの発想もよかったけど、
やはり、特定の環境下でしか使えない道具のほうをつかってみたい。
あの場面はドラミちゃんの頼れるところを見て、ついつい微笑ましい顔を浮かべてしまっていた、
ドラえもんのお兄ちゃんらしい部分が出ていて実によかったですね。
パパとママたちが都会の喧騒から離れた休日をエンジョイする一方で、
背後から忍び寄っていた、怪しい人影。
その怪しい人影の正体とは、山おく村の近辺で7日前から遭難していた金原さんであった。
ずっと飲まず食わずで遭難していたので、
インスタントラーメンだって、そのままの状態でかじって食べるぞ!
半死半生の状態の中、野比家に助けを求めようとするも、
木の上から落っこちてきた雪の塊の下敷きになり、さらにその雪の塊で巨大雪だるまをつくられて生き埋め状態にされてしまったりと、さんざんな目にあっていた金原さん。
その後、必死の思いで雪だるまから脱出したあとも、
道を歩いていたジャイアンとスネ夫から「ただのふざけている人」だと認識され、遭難者だと気づいてもらえずに終了するなど、かなりの不運っぷりをみせていた。
きっと、こんな不運な人だったからこそ、山でガッツリ遭難しちゃったんでしょうな。
運の悪すぎる人は、今の時期の冬山に登るのは避けたほうがいいのかもしれない。
自分の運に自信のない人は、登山前にパワースポットを巡ったり、開運のお守りを身につけておこう!
そういえば、今回のアニメでは、
ドラミちゃんが巨大雪だるまを運搬する時に使っていた道具に『全自動トレーラー』という名前がついていました。
一部のドラえもん関連書籍では『運ぱん機』なる名称もついているそうですが、
これからはこの名前が正式名称として、定着していくのでしょうか。
こうして、人里離れた山おく村でおだやかな一日を過ごせたパパとママ。
のび太くん達にとっては、結婚記念日祝いとして最高のプレゼントができた形となりましたし、
遭難した金原さんのことについても、最後までその存在を知らないまま終わっていくのでした。
パパとママが、テレビで金原さん救助のニュースを見ても「不思議な話もあるものねえ」とだけコメントをするのみ。
完全に他人事だ!
今回のお話は、何度も助けを求めているのに相手にしてもらえない金原さんの不幸と、
最後まで何も知らなかったのに、結果的に遭難者を助けてしまった野比家のみなさんとの対比がおもしろい一本でした。
さらに、この回のラストでは、
テレビの前の視聴者に向かってサムズアップを決める金原さんの姿が夜空に浮かんでおしまいという、謎の演出もくわえられていた。
あの演出にはちょっと困惑したけど、
とりあえず金原さんが思ったより元気そうだったのでよかったです。1本目の感想は以上。
争奪戦回避銃(アニメオリジナル)
2本目は久しぶりのアニオリ回。
欲しいものを何でも独り占めするジャイアンにうんざりするのび太くんに対し、ドラえもんは『争奪戦回避銃』を出してくれたのですが・・・。
理科の時間で顕微鏡を自分だけ使っていたり、
学芸会の劇の役決めで「主役を務めるのは俺しかいない。主役が2人なら、俺も二役を演じる!」という理由で、
ジャイアンが宮本武蔵役と佐々木小次郎役を兼任しようとしていたのは、流石にアレだとおもいましたが、
給食のプリンの件に関してだけは、
「クラスメイト同士の無駄な争いを避けるべく、あえて自分が悪者をかって出たガキ大将の鑑」といった見方もできるっちゃあ、できる。
一見すると意地悪な言動でしかないけど、
よく話を聞いてみたら実はいい奴という『僕とロボコ』のガチゴリラくんみたいな行動原理だ!
それにしても、ジャイアンは武蔵と小次郎の二役をどうやって同時に演じるつもりだったんだろう?
舞台上で清水アキラさんのものまねみたいなことをするつもりだったのかもしれない。
巌流島での対峙シーンも、ただのひとりコントになってしまいそうだ。
今回ドラえもんが出してくれた『争奪戦回避銃』は、
「欲しい人の数だけ物が平等に増えれば、争いを回避できる」という理屈のもとに成り立っている道具である。
どら焼きを食べたい人が2人いれば、どら焼きを2つに増やすことが出来ますし、
3人いれば、どら焼きも3つにまで増やすこともできるぞ!
しかし、この道具でどら焼きを2つに増やした場合、
どら焼きのおいしさもキレイに二等分されてしまうという、ある意味究極なまでに平等な道具でもあった。
食べたものの味が半分になってしまうの、なんだか『おすそわけガム』みたいだ。
それなら食べものでなければ大丈夫なのかと思いきや、
ロングスカートを二等分すると、同じ生地のミニスカートが2着生まれてしまったり、
漫画の単行本を二等分するとおもしろさが半減してしまうなど、あまりよろしくはないようだった。
これを使うくらいなら、
『フエルミラー』を使ったほうがデメリットも少ないように思えますが、
ちょっと欠陥のある道具のほうがお話もおもしろくなったりするので、まあ難しいところだとは思います。
この道具を不便と思うか、
多少クセはあるけど使いこなすのが面白い道具と思うかは、使う人の考え次第ってことで。
そんな『争奪戦回避銃』でしたが、
どんなに数を分けようがすべてを独り占めしてしまうジャイアンにはまったく効果がなく、
さらに、この道具の効果によってジャイアンも3人に分裂してしまうなど、なんだかとっても奇妙なことになりはじめていた。
まさかこの道具が、光線を浴びせさえすれば、
べつに分けようと思っていないものでも勝手に分裂しちゃう仕様だったとは。
自分が3人になっても、「まあ、いっか」で済ませることのできるジャイアンは、やっぱり大人物だ!
自分が3人に増えたことで、
武蔵・小次郎役どころか、お通さん役までノリノリで演じ始めたジャイアンの姿はなかなかに見ごたえがありました。
3人のジャイアンの中で、ヒロイン役をやっているジャイアンが一番演技うまかったような気がするのは気のせいだろうか?
世の中から争いを無くそうとして『争奪戦回避銃』を使いはじめたのに、
結局は3人に分裂したジャイアンがまた新たに争い始めたりと、状況はあまり変わらず。
のび太くんの「人は争いから逃れられないのか・・・。」という言葉がこのお話の全てだったような気がします。
全ての物事を平等にしようとしても、必ずどこかで不公平なことが起きてしまう。
平和の象徴・ハトをかたどった『争奪戦回避銃』のビジュアルが、なんとも皮肉的だ。
極端な話を言ってしまえば、
今回のように、欲しいものをすべて自分のものにしてしまうジャイアンがすべての悪役となり、
みんなが平等にイヤな想いをするのが、一番の公平になってしまうのかもしれません。
『イヤなイヤなイヤな奴』に出てきた「にくまれ屋」も、
こういう感じの発想から、宇宙時代のビジネスに繋げていったのかなあ。
といったところで、今週のドラえもん感想はここまで。
●映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争2021 リトルな世界●
今週はハードカバー本を重ね合わせて「リトルな合掌造りの家」を制作。
第4回目にして初の食べ物(食品サンプル)を使わない作品でしたが、屋根の部分に用いた本が傷みそうで心配だ。
このコーナーは、今日放送されたお話にちなんだミニチュアをつくるってコンセプトでやっていくんでしょうかね。
■次回予告■
次回の放送は2月13日。
「大雪山がやってきた」「チクタクボンワッペン」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(鬼は外ビーンズ&家がロボットになった)
次回の感想:ドラえもん感想(大雪山がやってきた&チクタクボンワッペン)