2020年6月6日放送分 ネタバレ注意!
おそるべき正義ロープ(コミックス23巻収録)
友達同士との楽しいドッジボール遊びの最中に起きた疑惑の判定に抗議するのび太くんと、
その抗議を「暴力」でねじ伏せるジャイアンという、
正義と悪の存在を圧倒的なまでに描く始まり方をした今週の1本目。
ジャイアンもおとなしくスポーツマンシップにのっとった行動をすればいいだけの話なのに、
暴力で勝ち負けを関係なくさせちゃうなら、勝負としてドッジボールをやる意味が全くなくなってしまうぞ。
スポーツの勝敗よりも、
自分の都合によるリアルファイトでの勝ち負けで白黒をつけたがりなジャイアンは、
平和なドッジボールよりも、『コブラ』に出てくるラグ・ボールのほうがプレイヤーとして向いているのかもしれません。
あのスポーツは、たとえ試合中に相手選手を殺っちゃったとしても、不問になりますからね。
ジャイアンもコブラの世界だったらスタープレイヤーになれていたりして。
こうして自らの発言が暴力によって無きものにされた悲しみで、「正義は死んだのか」と嘆くのび太くん。
そんなのび太くんのために、
ドラえもんは『正義ロープ』なる道具で悪者を懲らしめることを提案するのですが・・・。
どこかで暴動やケンカが起きた際に使えば、関係者を全員捕縛できそうだの、
ウソツキや悪者をゆるさない『正義ロープ』は確かに使いようによっては大変便利そうな道具である。
ただ、「正義」というものは、
個人の立場や価値観によってなにが「善」で、なにが「悪」かという区別がハッキリしないところがあるので、
「自分の価値観こそが正義!」と思い込んで、やたらと他人を責めたり追い込んだりすることはあまり関心しないですし、
『正義ロープ』も「いけないことを犯した人の立ち場」や「情状酌量」とかそういうことを一切考えずに悪人を捕縛するところは、全くもっていただけない。
ひとつの基準で判断できないことを罰するために「正義」という言葉を使うのは、ちょっと横暴すぎる気がしますし。
そもそも『正義ロープ』が悪人を捕まえようとすべく、
道路のアスファルトを突き破って現れるのも、見方によっては立派な器物損壊罪である。
『正義ロープ』が自分のやってることの罪に気付いた時は、自分で自分の体に巻き付くんだろうか?
使ったあとのなわとびや、毛糸玉みたいになってそう。
ロープの先端に眼球が1つくっついた、ちょっと気持ち悪い見た目をしている『正義ロープ』だが、
ドラえもん曰く、『正義ロープ』は「つる草のサイボーグ」というイメージでつくられたものらしい。
自分の中では「サイボーグ は人間のかたちをしているもの」という認識だったので、
分類上だと『正義ロープ』が、「サイボーグ009」や「ミラクル少女リミットちゃん」と同じカテゴリーに入ることがちょっと意外でした。
でも、ここらへんのサイボーグの定義についてはけっこうややこしくなりそうなので、これ以上のことは詳しい人に任せます。
『正義ロープ』のビンの底の「ロープよびもどしボタン」を押すため、自分の家へ戻るのび太くんとドラえもん。
原作では割とあっさりボタンを押すことができていたんですが、
アニメでは、しずかちゃんが自らの身を犠牲にしてドラえもん達を家へ向かわせていたり、
ボタンを押す直前でのび太くんがメガネを落としてしまい、なかなかボタンが押せなかったり、
マンホールから『正義ロープ』があらわれるのかと思ったら、
何も知らない工事のおじさんが出てきただけだった・・・など、かなり緊迫感のある展開になっていました。
原作となったお話のページが短いと、ムリヤリ新たな展開を追加しないといけなくなるわけですが、
今回のように展開が盛り上がる演出を追加して、時間を稼ぐこともできるので、本当に良し悪しあるんですよねえ。
アニメドラえもんは
「ページの短い原作回をどのようにして1本分の尺にするか」も、見どころのひとつだと思っています。
そして、このお話のラストは、
ジャイアンとスネ夫から逃げるために『正義ロープ』を使いたかったけど、立ち入り禁止の芝生の中にいたので使えなかったという終わり方。
のび太くんの「正義は死んだね・・・」という、アニメオリジナルのセリフでうまくオチがついたのでした。
正義ロープ案件 pic.twitter.com/6Ggu1TQaS6
— koukousei(美山田精一)@スパムじゃないよ (@koukousei) 2020年1月4日
ちなみに、先日から営業を再開した「藤子・F・不二雄ミュージアム」にも『正義ロープ』の使えない場所が存在します。
注意しましょう。
そんなわけで、1本目の感想はここまで。
むりやりアスレチックスクール(アニメオリジナル)
2本目は2017年10月13日放送分の再放送。
当時は秋の運動会シーズンに放送されたお話だけど、
今だと6月上旬に運動会をやっている学校もあるらしいので、いま放送しても時節ネタとしてはちょうどよくなるのかな。
「むりやりアスレチックスクール」は、
てんコミ19巻「アスレチック・ハウス」を元ネタにしたお話なんですが、
その際に運よく『アスレチック・ハウス』の餌食にならずに済んだのび太くんは、
この回でも『アスレチック・ハウス』からの見事な神回避をみせていた。
今回ものび太くんが『アスレチック・ハウス』の餌食にならなかったのは、脚本家さんの原作リスペクトによるものなんでしょうか。
学習本シリーズでもいいから、
一度くらいは「のび太くんがアスレチック・ハウスに挑戦するところ」が見てみたいという気持ちはある。
でも、後ろから大玉が転がってくる「ロウカランナー」や、足を踏み外したら落っこちてしまうトイレゾーンなどを見るに、
運動音痴ののび太くんがムリしてハードなアスレチックに挑戦した場合、うっかり死んでしまう可能性がある。
やっぱりトレーニングは、ゆっくりと負荷を上げながらやったほうが効果的だと思いますよ。
死んだら元も子もないですし。
それにしても、この時間帯だったらまだ学校にいそうな教職員の人たちはどこへ行ったんだろう?
画面に映っていないところで、
ひたすら逆走する廊下を走っていたりするのかもしれないぞ。
そんなわけで、今週のドラえもん感想はここまでです。
【次回予告】
次回の放送は6月13日。
「のび太のブラックホール」「ジャイアンVSメカジャイアン」の2本をお送りします。
前回の感想:ドラえもん感想(ヨンダラ首わ&おばけ口目の怪事件[再])
次回の感想:ドラえもん感想(のび太のブラックホール&ジャイアンvsメカジャイアン[再])