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こち亀の作中に登場するドラえもん達で振り返る「ドラえもんとこち亀40年の歴史」

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コミックス16巻「大和魂保存会!?の巻」より

 

今日発売の週刊少年ジャンプ42号をもちまして「こちら葛飾区亀有公園前派出所」は最終回。

同日発売の単行本第200巻とともに、連載40年の歴史に一旦幕を閉じることとなります。

 

いやー、あのタイミングでの連載終了発表は本当に驚きでした。

この記事だって本当は「アイデアはあるけど、こち亀が連載2000回迎えた頃に書けばいいか」とか思ってましたからね。まさか終わるとは。

 

そんなわけで、こち亀の長い歴史の中では作中にドラえもんが登場するコマがいくつも存在します。

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コミックス25巻「ズウ亀有の巻」より

 

藤子不二雄ブログらしく、今回はそんなドラえもんの登場するコマとともに、こち亀40年の歴史を振り返ってみたいと思います。

なお、この記事はネットで得た情報と自分の「そういえばこち亀のこの回にドラえもんが・・・」という記憶のみで作ったものなので、いくつか抜けがあると思います。

「このこち亀の回のドラえもんが出てないぞ!」という情報をお持ちの方はTwitterなりコメント欄なりで教えてください。あとで記事で追記するかもしれません。 

 

というわけで、まずはドラえもんこち亀に初登場した回から振り返っていきましょう。

こち亀データベースさんの情報http://www.maxaydar.net/kame/index.htmlによりますと、コミックス10巻「奪還!の巻」が、こち亀本編でドラえもんが登場した最初の回なのだそうです。

こち亀の連載が始まってまだ2年目の頃。なんと38年前ですよ38年前。

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コミックス10巻「奪還!の巻」より

 

この回は「ピストルもってりゃだれだって強いんじゃない・・・」という少年の一言にショックを受けた中川が犯人逮捕のために自ら立てこもり現場に潜入。銃を使わずに素手で犯人を取り押さえる・・・といった非常にシリアスな回なのですが、

その犯人が人質をとって立てこもっていた喫茶店の壁にかけてある絵として登場したのがこち亀40年の歴史における最初のドラえもん登場です。なんでこんなシーンで?

この当時既にアニメ化もされていたオバケのQ太郎*1パーマン*2こち亀初登場が30巻代と遅めなのに対し(文字だけだと「怪物くん」が25巻で登場*3、コミックス10巻代での登場は驚異的なスピードと言えるでしょう。

 

なお、この回が少年ジャンプで発表されたのは1978年といえば、テレビ朝日でアニメ「ドラえもん」が始まる約1年前のこと。

長いマンガの歴史の中でも「作中でドラえもんを描いた漫画」としては、こち亀はほぼ最初と言えるのではないでしょうか。

ちなみに、この「奪還!の巻」では両さんが「銀行よりも郵便貯金の方が年利率がいいからな!」とひそかに給料を郵便貯金していたというシーンも描かれています。

後年、銀行振り込みを嫌って自分だけ給料を直接手渡しで支給してもらっていたあの頃の両さんとは違いますね。さすが初期。

 

 

続いてはコミックス25巻。

25巻「サイド・ビジネスの巻」では、サイド・ビジネスとして喫茶店を経営するヤクザの組長がつけていたエプロンの柄としてドラえもんが登場。

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コミックス25巻「サイド・ビジネスの巻」

 

強面なのにドラえもんエプロンをつける組長。けっこう似合っている。

そして、この第25巻のすごいところは、この巻に収録されている全10作品のうち4作品にドラえもんが出てくる*4というこち亀におけるドラえもん大量出没ゾーンだったりします。

同じくコミックス25巻収録の「立ちよみ!の巻」に出てくる本屋さんのシーンでは、ドラえもん「ドラをポン」なる変名で登場。

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コミックス25巻「立ちよみ!の巻」より。ドラをポン。

 

本の表紙に「ドラは中だった」という煽り文句があるところから見るに、多分この「ドラをポン」という本は麻雀漫画なのでしょう。いっぺん読んでみたいぞ。

 

とにかく、この第25巻はドラえもんがいっぱい出てくる巻なのでドラえもんは好きだけど実はこち亀をまだ読んだことが無い」という方(いるのか?)は、とりあえず25巻からこち亀を読んでみることをお勧めします。

こち亀は1話完結なのでどの巻から読んでも楽しめますし、両さんの弟・両津金次郎やホットロッドの前田が登場するのもこの巻なので必見ですよ。(さりげなくこち亀知識を挿入)

 

 

思っていた以上に記事が長くなりそうなので、ここから先はちょっと飛ばし気味で行きます。

 

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コミックス50巻「恋の沖えらぶの巻」より

記念すべきコミックス50巻では黒板の落書きとしてドラえもんが登場。

当時の人気キャラ達と共に同じ黒板にはQちゃんもいますね。この作品の発表は1986年なのでちょうど藤子不二雄劇場でオバケのQ太郎が放映されていた頃の時期。

 

 

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コミックス76巻「海パン刑事!の巻」より  コミックス79巻「なんでも消すペンの巻」より

こち亀も1990年代・コミックス70巻代に入ると、物の例えに「ドラえもん」を使ったセリフもチラホラと。

こち亀を読んでいるジャンプ読者の間でも「ドラえもん」が浸透してきた様子が窺えます。

 

 

こちら葛飾区亀有公園前派出所 (第80巻) (ジャンプ・コミックス)

迎えた記念すべきコミックス80巻の巻末コメントでは、ついに「ドラえもん」作者藤子・F・不二雄先生が登場。

週刊少年ジャンプ」という人気雑誌で16年間も連載を続けていることを褒め称えるとともに、主人公・両津勘吉のキャラクターを絶賛。

両さんを)今後も伸び伸びと、本音で行動させてあげてください」とエールを送っています。

 

 

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コミックス96巻「進め!両さん鑑定団の巻」より

96巻では両さん所有の懐かしおもちゃとしてドラえもんが登場。

ドラえもんも歴史を重ね、昔のドラえもんグッズがプレミア商品として扱われるほどの人気となりました。

そして、この頃からこち亀ではマニアックな薀蓄回が増えてきたような気がします。

 

コミックス98巻「世にも危険なクイズ!!の巻」はそんなマニアックな知識が満載の回。

両さんが企画したクイズ番組なので「『忍者部隊月光のマーキュラー編』に登場したM3号の女性は?」「千葉真一扮する立花真一といえばタイトル名は?」などの難問が続出。

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コミックス98巻「世にも危険なクイズ!!の巻」より

画像の男性も「『カリオストロの城』のラストシーンで宮崎氏が手がけたキャラが特別出演しています。その名は?」という問題を答える羽目になり、困った挙句ドラえもんとアンサー。

当然解答は不正解。罰ゲームとして座席に仕掛けられていたロケットでスタジオの外へ放り出されるという悲惨な目に遭いました。

 

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なお、この番組を企画した両さんも全く答えが浮かばすにオバケのQ太郎と答えた結果不正解になっています。

 

ちなみに両さんが答えられなかった問題がこちら。

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自分を含め、この回で「電脳戦隊ヴギィ'ズ・エンジェル」というアニメの存在を知った人は多いと思います。はい。

 

 

1996年にはこち亀コミックス100巻の大台に突入。

さすがに100巻を超えたあたりから、本来は他の出版社のキャラクターであるドラえもんが作中に登場することは流石に少なくなりました。

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コミックス107巻「部長のポケモン奮戦記の巻」より

 

 

それでもドラえもんを含めた藤子不二雄キャラがこち亀に出なくなったというわけではなく、

「忘れた頃に・・・」といった感じの頻度で登場するように。

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コミックス116巻「ダンス・ダンス・盆踊り!!の巻」より

 

そして久しぶりのこち亀登場となったコミックス129巻では、

寿司職人となった両さんが子供たちに振る舞った巻き寿司のキャラクターとしてドラえもんが登場します。

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コミックス129巻「怒れ!寿司神様!!の巻」より

両さんが超神田寿司に勤め始めた事は100巻以降のこち亀の大きなトピックスのひとつですからね。

「そろそろここら辺で出しておかないとな」と秋本先生も思ったのでしょう。(適当)

 

さらに、もうひとつのこち亀100巻以降トピックスといえば両さん通天閣署へ出向したこと。

すなわち御堂春巡査の登場ですね。パンおいしいねん。

もちろんここにも「関西の知られざるテレビ事情を説明するシーン」での一環でドラえもんが出演しています。

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コミックス144巻「御堂家の人々~上京編~の巻」より

 

なんと関西ではドラえもんならぬ「ドラエポン」が放送中!セリフも全部関西弁に吹き替えて製作・・・って完全なる嘘じゃないか!

でも実際のところ、当時ジャンプでこの話を読んだ時「へー、関西ではアニメでそんなことやってるんだ」ってちょっと本気で思ってました。

何でこんな嘘ついたんだろう?

 

で、今回調べた中で最後にこち亀ドラえもんに触れたと思われる回がコミックス145巻収録の両さん錬金術'04の巻」

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コミックス145巻「両さん錬金術'04の巻」より

商店街で使える「地域通貨券」のデザインを請け負った両さんが、自身の作った地域通貨券の利便性を上げるためにいろんなアイデアを出すというお話。

その通貨券のデザイン中に両さんが「これ描いていいか?」と例に出したのがドラえもんだったわけですね。

ミッキーマウスは描いちゃダメなのは当たり前ですが、意外と藤○プロもドラえもんとかを無許可で描くとけっこう怖いってウワサですよ。

 

こちら葛飾区亀有公園前派出所 第171巻 ピアノ二重奏の巻 (ジャンプコミックス)

なお、コミックス171巻の巻末コメントは藤子不二雄Ⓐ先生が務めておりますのでこちらもお忘れなく。これで藤子不二雄両者が巻末コメントそろい踏み。

内容の方は、いつもの藤子Ⓐ先生らしい文章でこち亀を読むことで感じるエネルギー、両さんのスケールの大きい活躍ぶりを語られています。必見!

 

 

・・・というわけで、こち亀で振り返るドラえもんの歴史(もしくはドラえもんで振り返るこち亀の歴史)いかがだったでしょうか。

こち亀が始まった頃は、まだドラえもんよりもオバQの方が世間の知名度は高かったわけなのですが、

その40年後には、こち亀ドラえもんもすっかり知らない人はいないほどの人気者となりました。

こち亀が連載していた40年というのはそれほどの長い年月だったというわけです。

 

最初にこち亀が少年ジャンプに載った頃の中国の最高指導者が毛沢東だったというエピソードでも、その年月の重みは十分に感じられますよ。

今回の記事を書くためにこち亀もあらかた読み返しましたけど、やっぱり面白かったですし。こち亀200巻セット付きの本棚、買っちゃおうかな?

秋本先生、本当に長い間連載お疲れ様でした。

 

こちら葛飾区亀有公園前派出所 第171巻 ピアノ二重奏の巻 (ジャンプコミックス)

こちら葛飾区亀有公園前派出所 第171巻 ピアノ二重奏の巻 (ジャンプコミックス)

 

 

*1:

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コミックス33巻「温故知新!?」より

*2:

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コミックス36巻「署長の息子の巻」より

なお、このコマでドラミちゃんもこち亀初登場を果たしています。どこにいるかわかりますか?

 

*3:

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コミックス25巻「ガンマニアの巻」より

*4:文字のみでの登場も含む