アニメの醒めない魔法―ドラえもんからセーラームーンまで、アニメトラウマ構造分析
出版社:PHP研究所
発行日:1995年10月19日
価格:1400円(税込)
全276頁
文/高田明典
先日行った中野ブロードウェイ近くの古書店で見つけた本。表紙のデザインだけでつい買ってしまった。
この本の筆者さんは、TVアニメ番組が及ぼす人格形成への悪影響について警鐘を鳴らしており、
アニメ作品には視聴者が深層心理の中で求めている「欲望と禁忌」が暗喩として隠されていて、その暗喩の含まれたアニメ作品を見ることで、
知らず知らずのうちに幼少時の人格形成に影響が及び、それが大人になった現在の自分の行動心理や感情のルーツになってしまっていることがあると指摘しています。
例えば、ショッカーに改造されたヒーローが怪人を次々と倒していく「仮面ライダー」の展開は、
「ショッカー(大人社会)に属する怪人(大人)をヒーローが倒してくれる」という「大人社会への反逆の物語」といった暗喩と言えますし、
セーラー戦士に変身して敵と戦う「セーラームーン」も、「大人社会への反逆と成熟した女性への憧れを暗喩している」という捉え方ができ、
ガンダムに出会った少年が最終的に機体を放棄してホワイトベースの乗組員の元へ帰っていく「機動戦士ガンダム」は「壮大なる親離れの物語」だと解釈することが可能です。
この本には、こんな感じの深層心理的な目線から解釈したアニメ作品の分析が多数載っております。
そして、表紙でも大きく取り扱われていた「ドラえもん」も「子供たちの努力なしでの達成を望む欲求が暗喩として隠されている」との分析結果が。
ただ、この本の中で一番面白かったのは、
「ふしぎの海のナディア」の項目で、筆者さんがいきなり本文の流れとは全く関係のない「ふしぎの海のナディア・劇場版」の悪口を書いていたところ。
筆者さん曰く「本編の雰囲気が台無し」「思い出すだけでも腹が立つ」「口直しのために本編の全部を見返した」「あの映画を見た記憶を消したい」とボロクソに貶しまくっておりました。
「ふしぎの海のナディア・劇場版」は見た事無いんですけど、そんなにヒドかったんですか?