※この記事には「新・日本誕生」のネタバレが多数含まれています。
上のグッズの山を見ればわかるように、映画「新・日本誕生」を見てきましたよ。
いやあ、今年の映画は本当に良かったです。
とりあえず思い出せるだけ感想を書いてみます。文中で一部(セリフうろ覚え)となっている箇所がありますが、ここは近いうちに3回目を見に行った後にちゃんと正しいセリフに書き換えておきます。あしからず。 2016.3.20 セリフ修正しました。
今回の「新・日本誕生」(以下「新作」)は全体的にのび太君とククル、のび太君とペガグリドラコ、そしてのび太君とママといったそれぞれの「絆」を中心に物語が進んでいったという印象を受けました。
ちゃんとその絆を描くために新作ではさまざまな改変があったわけですが、その改変が本当にいい具合に作用していたのが素晴らしい。
旧作だとそれこそ序盤でハムスターを愛でるだけしか出番のなかったのび太君のパパが、新作ではその籠の中のハムスターを家出した息子に例えて「ずっと籠の中じゃ、息が詰まるもんな」とママを諭す良きお父さんとして描かれていたり、
今回の映画最大の改変と言える終盤のシーンでは、序盤でタイムマシンを隠すためにドンブラ粉を使う件とククル君が「マンモス狩りの時にはぬかるみに追い込んでいた」という経験から巨大マンモスロボを倒す手段を思いつくという流れは本当に凄いと思いました。*1
この7万年前の世界でククル君と友達になっていなかったら、マンモスロボも倒せなかったですし亜空間破壊装置も壊せなかったわけですからね。*2
新しいアイテムとして出てきた犬笛も、ククル君とのび太くんを繋げるアイテムになったり、のび太くんが遭難した時に犬笛を吹いたところからペガグリドラコが現れるという素晴らしいキーアイテムっぷりを見せていました。
あの犬笛、映画館の売店で売ってたら絶対買ってたのになあ。
あとは既存のセリフを後の伏線として生かす演出。旧作では、原作でのギガゾンビvsドラゾンビ戦で23世紀製の石ヤリに負けた時に飛び出した「残念、一世紀負けたか!」という名台詞がカットされていて少し残念な気分になっていたのですが、
新作ではそのセリフがしっかり採用されていた上に、ラストで劣勢のギガゾンビに対して「たった一世紀の違いなんて仲間がいればこわくないぞ!」という展開に持っていったり、
そんなドラえもんの22世紀製の石ヤリを破壊したギガゾンビ*3も、ククル君が使っていた石ヤリを破壊することが出来ず、ドラえもんから「偽物の歴史が本物の歴史にかなわけないんだ!」と言い放つシーンも素晴らしい。名言が20年以上の時を経て成仏した感すらあります。
「100年前のポンコツ」と22世紀の石ヤリをバカにしていたギガゾンビが7万年前の石ヤリに負けるというのも熱い展開です。
それとジャイアンの名台詞「おれはかーちゃんのどれいじゃないっつーの!! 」とのいう発言も、トコヤミの宮でククル君がいるのを発見したジャイアンが「奴隷だけは許さねー!」という発言に繋がっているのもいいです。
そんなギガゾンビも新作ではパワーアップ。前述の機械破壊ビームやデザインがかっこよくなった23世紀製の石ヤリ、マンモスロボ召喚などかなり悪役感が出ておりました。
旧作はギガゾンビよりもツチダマの恐怖感の方が上回ってしまったことや、あのマスクが剥がれた後の素顔のせいでどうもラスボス感が弱かったんですよねえ。*4
そんないい点だらけの新作ですが、原作・旧作でいかんなくその存在感を発揮していたツチダマさんが新作ではあっけなく退場したのはいかがなものか?
一応今回は五色のツチダマがいたわけですが、その中でもオリジナル体型のツチダマがギガゾンビの手によってドロドロに溶かされたシーンは旧作を見ていた方にとっては驚きの場面だったと思います。
「次のシーンまでには復活してるだろ」と思って見ていたら、本当に最後まで出なかったですからね。
あまりの展開に「この『新・日本誕生』は旧作とは違うんだよ」という暗喩を込めて殺されたのかと思ってしまったぐらいです。
それから、旧作を見ている人が驚いたと思うシーンはのび太君が雪の中で遭難したシーン。
あそこも旧作では、ラーメン幻覚からのいねむり裁判があってからのマンモスに扮したタイムパトロールが謎の小箱を渡すといった流れだったので、
タイムパトロールが来る前にペガグリドラコの三匹が来てしまった時は、「洞窟で生き埋めにされた時どうするんだよ!」とつい心の中で叫んでしまいました。*5
あとはやたらとドラミちゃんが出てきたこと。旧作では同時上映作品のほうに力を注いでいたので出演しておりませんでしたが、この「新・日本誕生」ではツチダマの成分を分析したり、タイムパトロールに通報を行ったりと八面六臂の大活躍ぶり。
別に出てきてほしくないわけでもないんだけど、自分は「映画ドラえもん」はドラえもんがやはり準主役のようなものだと思っているので、
やっぱりドラえもんより有能なドラミちゃんが出てきてしまうと、どうしてもドラえもんの存在意義が揺らいでしまうというか何でもあり感が出てしまうというか、そういう微妙な気分になっちゃうんですよねえ。
後は、川でジャイアンとスネ夫を襲っているのがワニからサンショウウオになってたとか、ウタベさんの出番がないとか、森の中でのび太君がフルチンになるシーンが無いとかいろいろあるのですが、
ここらへんで挙げた苦情はすべて「旧作を見ているからこそ思ったこと」であり、ただ単に新作のみの内容の良し悪しでいえば本当に完璧な出来だったと言えます。回顧主義、ヨクナイ!
あと気になったところを思いつくだけ箇条書き。
- 「ウンタカ!ドラドラ団」の3人は声優さんとして凄い馴染んでた。特に小島よしおさんに至っては2回見に行ってもどの役やってるのかわからなかったレベルでした。
- ジャイアンに「(写真を)かっこよく撮ってくれよ!」と言われ「元がよくないからわからないけど・・・」と言うスネ夫
- ほんやくコンニャク、「みそ味」に続いて「しょうゆ味」が新登場!
- ヒカリ族の人がドラゾンビに料理として献上されていた牛が、7万年前の世界に来た直後にジャイアンとスネ夫を襲っていた牛と同じ牛に見えるのは気のせいか?
- ククル君のお母さんの名前がタラネから新作ではコイヤメに変わった?
- タイムパトロール隊にT・Pぼんっぽい人たちが登場。並平凡とユミ子はそのまんまだったけど、TP隊長がリームさんというのはちょっと違和感が。
こんな感じでいろいろぐだぐだ書いてきましたが、これまでのわさドラでのリメイク作品の中で一番面白かったですし、
ただのアニメ映画として見ても確実に面白いので、まだ見ていない人も見に行くことをおすすめします。旧作を見ていなくても十分に楽しめますよ。
新作を見終わった後に原作や旧作を見て、また映画館に新作を見に行くってのもアリです。
そして来年の映画予告。どうやら氷の世界が舞台のようです。
ドラえもんが手に「氷細工ごて」らしきモノを持っていたので、「大氷山の小さな家」が原作になるのかなーと思っています。
でも日本誕生もヴェルム氷期の頃の日本が舞台なので、ちょっとだけ内容が被っているような気もする。
とりあえず1年後にこの映画がどうなっているのか期待します。おしまい。