記事にするのがちょっと遅れてしまいましたが、
8月30日(木曜日)に『わが名はXくん』第3巻が発売されました。
この第3巻をもって「わが名はXくん」の単行本全3巻は無事完結。
これで毎月本屋さんに行って、3500円を支払う日々からようやく解放されたことになります。
3ヶ月間がんばって単行本を買い支えたんですし、講談社さんには藤子作品関連での新たな展開を期待しておりますよ・・・。
<ためし読み>
この第3巻で掲載誌も「たのしい六年生」収録分に入り、それと同時にXくんたちも小学6年生に進級しました。
これまで、さまざまな出来事やクセのある人物たちとの出会いを果たしてきたXくんですが、
第3巻でも、留守番中に3人組のギャングがやってきたり、
「こじき王子」ばりにお金持ちの家の男の子と入れ替わってみたりなど、なかなかに面白おかしい日々を送っているようです。
作中では当時放送中だった「部長刑事」や「ローハイド」について触れられているコマもありました。
自分はその時代に生まれてはいないですが、漫画でネタにされるくらいに当時は人気だったんだろうなあと思いを馳せてみたり。
そして、この作品にも「キザオ(キザ夫)」という名前のキャラが出てくるとは思わなかった。
顔自体はその名前で思い浮かぶイメージのそれとは全くちがっていたけど、50年前の時点からこの名前はあったんですなあ。
歴史を感じる。
そして、第2巻の感想記事で言っていた
「作品終盤で赤マスクの正体が自分だとバレてしまう展開があるのでは?」という心配もありましたが、
けっきょく最後まで正体がバレることはなく、
物語のラストは藤子A先生からの作品を通してのメッセージとともに、「わが名はXくん」は終わっていった。
通常回のヒーンシク君との柔道対決から、そのまま流れるようにラストシーンにいってしまったので、
2018年の今の感覚で見ると、3年続いた連載作品の割には何だかあっけない感じの終わり方にも思える。
せっかくの最終回なんだし、怪物ランドに帰ってみたりとか、「革命いまだ成らず!」と叫んでみたりとか、もうひと盛り上がりくらいあってもいいのに。
ただ、こういうサッパリとした最終回を描いたことで、
「Xくんの日常はこれからも変わらずに続いていく」ということを読者に思わせてくれる、実にユメのある終わり方でもあったりします。
当時の読者だった人たちは、この最終回を読んでどう感じたのでしょうか。
そして同時収録の『マスクのXくん』は、昭和40年から41年にかけて「毎日小学生新聞」で連載されていたものらしい。
もちろん、この作品も単行本初収録です。
『マスクのXくん』は「わが名はXくん」完結後にあらためて描かれた作品であり、
自分は今回初めて読んでみたのですが、全体的に本編をダイジェストにしてまとめてみた感が強かった。
毎回1コマ目は「ぼくはXくんだ」のセリフから始まる前回までのあらすじから始まったりと、
初めて「マスクのXくん」を読む人へ向けた、藤子A先生なりの配慮も感じられます。
あと、「Xくん かみなりじいさんをKOする(第37回)」や「Xくん おもちゃ会議でQPにしりもちついたことからアイデアをおもいつく(第45回)」など、
たまーにタイトルだけでその回の内容をすべて語っちゃってる時があるのも、何かすごいなと思いました。
そんな「わが名はXくん」の創作秘話を、毎巻巻末に載っている藤子A先生のインタビューでも聞きたかったわけですが、
良くも悪くも今までに聞いたことのある話がほとんどだったので、思わず唸ってしまった。
50年の時を経ての初単行本化なんだから、
「わが名はXくん」の創作秘話だけに特化した内容でもよかったと思うんですがねえ。なんだか残念だ。
最終巻の感想なのに、ネガティブな意見ばっかりになって申し訳ないですが、
それでも、藤子A先生の初期の作品をこうして単行本化してくれたのは、本当に感謝しかないです。
記事の冒頭でも言いましたが、
今後も「トレジャーシリーズ」で何かしらの展開があればいいなあ・・・と勝手に期待しております。
愛…しりそめし頃に…(1): ビッグコミックス〔スペシャル〕 (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 藤子不二雄?
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
愛…しりそめし頃に…(2): ビッグコミックス〔スペシャル〕 (ビッグコミックススペシャル)
- 作者: 藤子不二雄?
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2018/09/28
- メディア: コミック
- この商品を含むブログを見る
そして、今月9月28日に「愛・・・しりそめし頃に・・・」の第1巻・2巻(新装版?)が同時発売されるらしいので、
10月以降は、そっちを追いかけてみることになりそうです。
発売まで1か月を切ったのに未だに詳細が出てないけど、一体どういう感じの本なんだろう?