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とよ田みのる「金剛寺さんは面倒臭い」第1巻が発売されたぞ!みんなも買って読もう!

 

とよ田みのる先生の最新作金剛寺さんは面倒臭い」第1巻を読みました。

(試し読み:金剛寺さんは面倒臭い 1巻 - ComicDrive

 

 


いやあ、面白かったです。

 

物語自体はラブコメディなんですが、この作品の変わっているところは、
本筋と全く関係のない「余談」に、物語がどんどん飛んでいってしまうところ。

 

 

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話の途中で、突然現世と地獄が繋がった時の話になったり、


とつぜん物語の視点が金剛寺さんが登校時に助けた妊婦さんのものになったり、
金剛寺さんが普段愛用しているダマスカス包丁の製造工程の話になったりなど、物語の本筋と大きく関わりの無い物語がどんどんと展開されていってしまう。

 

物語と無関係なエピソードが次々と繰り出され続けるストーリーに、君はついてこれるか!?

 

 


しかし、現世と地獄が繋がらなかったらキバ山くんが金剛寺さんと出会うことも無かったワケですし、
あの時妊婦さんを助けたことで、結果的に金剛寺さんの心が開く要因にもなったわけなので、


それらの「余談」が、本当に物語と関わりを持っていなかったわけでありません。

 

 

むしろ、「物語と関係のない余談」があったからこそ、この物語は成り立っているのです。

 

 

自分の人生と全く関係のなさそうな事柄でも、
実は自分の大切などこかでつながっていたりするのは、現実でも意外とよくあること。

 

 

この作品も、キバ山くんと金剛寺さんの恋模様を「物語の本筋」として描いていますが、
前述の妊婦さんや、あの時あそこでキャッチボールをしていた親子の視点で見てみれば、
この物語の本筋だって、自分の人生とは大きく関わりの無いことだと言い切れちゃうわけです。

 

 

自分の人生の主人公は、誰だって自分である。

 

一見すると、とても突飛な内容に見える作品かもしれませんが、

実は意外と普遍的なことを描いている作品じゃないのかな、と読んでいて思いました。

 

 

まあ、ダマスカス包丁の製造工程のくだりは本当に物語の本筋と関係ない話だったりしたりもするのですが、
それはそれで、物語のアクセントになっていたりするので、この余談も決して意味が無いわけでもありません。ないわけでも無いよね?

 

 

 


で、ここからちょっと余談に入るんですが、

 


この作品は、もともとは「読み切り作品」として発表されたものが物語の元となっておりまして、

作者であるとよ田先生が藤子不二雄ファンであることを知っていた関係もあり、実は自分もこの読み切り版を雑誌の時に読んでいたりします。

 

 

その時は「いずれ発売される短編集に収録されるんだろうなー」くらいにしか思ってなかったのですが、


それからしばらくして、リイドカフェ「劇画狼のエクストリームマンガ学園」でこの作品が公開されると知った時は本当にびっくりしました。

 


その頃は「全体的な絵ヅラが黒っぽくて面白い漫画」「なんか知らんけど動物が出てくる面白い漫画」か、

「その両方の要素を兼ね備えた面白い漫画」だけしかあのサイトでは公開されないと勝手に思い込んでいた時期だっただけに、自分の驚きも大きかった。

 

例えるなら、「『またいつか会えるよな!』とカッコよく言い残し、旧友に再会を誓うも、約2時間後くらいに適当に立ち寄ったコンビニでそいつとバッタリ逢ってしまった」みたいな感じです。
まさかこんなところで、こんな早いうちにまた逢えるとはさすがに思わんかった。(なんかすいません)

 

 


もちろん、作品をあらためて読めたのは嬉しかったですし、
このネット公開によって大きな反響を生んだからこそ、金剛寺さんは面倒臭い」連載開始に繋がったわけです。

これも人生の繋がりと言っちゃえば、繋がりと言えるのかもしれません。

 

 


そんなわけで晴れて連載開始となったわけですが、
正直言って「余談」の一点押しだけだったら、読者にすぐに飽きられやしないかと正直少し不安なところもありました。

 

 

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しかし、本筋のラブコメ要素も大変魅力のある内容に仕上がっていたので、そんな心配はまさに杞憂だった!
金剛寺さんも、キバ山くんも、ホントいい子だ!

 

 

そして不安視していた「余談」の部分も、

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作中で語られる謎のナレーションがストーリーを過剰すぎるほどに盛り上げ、独特の説得力、面白みを生み出し続けていくことに成功!

連載開始を期に、さらに内容がブラッシュアップされた!!

 

 

ブコメ要素も面白くて、余談の部分も面白い。
この2つの要素が面白いわけですから、この作品が面白くならないわけがない!

 

 

 

 

で、ここでまた余談に入るんですが、

 


自分はこの作品を読むと、エスパー魔美の「ずっこけお正月」という回を思い出すんですよね。

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この回は、魔美が知らないうちに物語の本筋と全く関係のない人達を救っていき、

こちらも同じくナレーションベースで話が進んでいくという、かなりの異色回となっています。


数ある「エスパー魔美」の作品の中でも特に印象に残っている話なので、まだ読んでないって人は機会があったら是非読んでみてください。

自分はいつか「金剛寺さんは面倒臭い」の単行本が出たら、絶対にこのエスパー魔美の話をブログでしてやろうと心に決めていました。

 

やれる時がきてよかったです。

 

 

 


しかし、ラブコメ物語の本筋と全く関係のない話を突っ込むというのは、本当に大変なことだと思う。
現に自分も、この漫画のマネをして記事の中に2つほど余談を突っ込んでみたけど、書くのがめちゃくちゃ大変だった。

(なんか、一部自分語りになっちゃってるところもあるし)

 

 

そのへんからも、この作品はとよ田先生の抜群の漫画構成力によって成り立っているんだな、ということも再確認することができました。

 

 

 

ここまでいろいろ長いこと言ってきましたが、とにかく面白いので読んでみてください。


この漫画を読めば、みんな幸せな気分になれるぞ!

読もう! 金剛寺さんは面倒臭い!