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異色の魚料理グルメコミック「人魚姫のごめんねごはん」第1巻が発売されたぞ!

原作・野田宏先生、漫画・若松卓宏先生の「人魚姫のごめんねごはん」第1巻が発売されました。

作品の試し読みはこちらから。

人魚姫のごめんねごはん 1 (ビッグコミックススペシャル)

人魚姫のごめんねごはん 1 (ビッグコミックススペシャル)

 

 

水揚げされてしまった仲間(魚類)を弔うために地上へやってきたのに、

そこで何故か魚料理の美味しさに目覚めてしまった人魚姫・エラが主人公という、設定からしてまさに異色のグルメ漫画である。

「昨日まで元気に海を泳いでいた仲間を食べることなんてできない」と葛藤しつつも、結局は食欲に負けて「友食い」してしまう姫様の様子が毎回コミカルに描かれているぞ!

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登場人物の半分が喋る魚というシュールな設定や、エラ姫の可愛さや出てくる魚料理がどれも美味しそうだったりすることなどで大分ごまかされてはいますが、

この作品における「魚」「人魚姫」の部分を「人間」に置き換えれば、この漫画がかなりぶっとんだものを描いていることがすぐに分かるハズ。

そんな観点でいえば、この漫画は昨今のグルメ漫画と比較するよりもミノタウロスの皿」「カンビュセスの籤」などの藤子・F・不二雄先生のSF短編と比較したほうが内容的にあっているのかもしれません。

 

 

そして、昨今のグルメ漫画には必要不可欠。

読者に料理の味を伝えるため、ついついオーバーになってしまいがちな「料理を食べた後のリアクション」も、

この漫画では「ごめんね○○(食べた魚の名前)。いいお味です――」と姫様が毎回美味しいんだか美味しくないんだかよくわからないコメントをするのみ。

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普通のグルメ漫画なら、料理の味が伝わらないこのコメントはしっくりこないと断言できるのですが、

この姫様の状況を人間に置き換えたら「昨日まで生きていた友達の死体を墓場から掘り起こし、その屍肉を食べてしまった」みたいな感じだと思うので、

「友達を食べてしまった後悔」「同族を食べるという倫理的な罪悪感」「それでも食べてしまう自分への嫌悪」などが入り混じった上でのセリフだと考えると、

このコメントがしっくりくるどころか、これ以上無いくらいに深い意味を持った料理の感想コメントに思えてくる。

まあ、どちらにせよ、この漫画がアニメ化されたら「いいお味です――」のセリフはネット上でものすごく流行しそうな気がします。

 

 

でも、やっぱりグルメ漫画の美味しいリアクションってのは、誇張もせず素直に「うまい!」と言ったほうが読者にも伝わると思うんですよね。

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ほら、この元・板前の政さんのように!

 

フィッシュバーガーを食べて・・・。

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「ゥンマーイ!」

そう、これです! 藤子A先生の漫画でよく見かけるリアクション!

 

これをマスターすれば、どこにでもあるような中華屋のラーメンやキャベツの味噌汁でも、漫画を読んでいる人が無性に食べたくなってしまう不思議な効果を持つリアクションである。

このリアクションを披露する時は、まんが道の才野っぽくクチをとんがらせるようにするのがポイントだ!

 

ただ、このとき政さんが食べていたフィッシュバーガーは

この後とても「ゥンマーイ!」とか言ってられないような裏事情が発覚してしまうのですが、それは実際に本編を読んでみてのお楽しみ。

 「人魚姫のごめんねごはん」には、読んでいる者の心をヒリヒリさせるブラックなネタも入っていたりするので、そのあたりも見どころですよ!

 

 

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生後何か月だか知らんが、魚のくせに日本の政治を斬るんじゃない!

 

 

そんな可愛い絵柄とシュールな設定から繰り広げられるハードな内容のギャップが受け、

やわらかスピリッツで第1話が公開された時点から「人魚姫のごめんねごはん」はネットでもかなりの話題となっておりました。

今からでも1巻を読めば5月17日公開予定の最新話にも追いつける形となっているので、まだ読んでないという人はこれをきっかけに読んでみてはいかがでしょうか。

おしまい。

 

ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)

ミノタウロスの皿 (小学館文庫―藤子・F・不二雄〈異色短編集〉)