4月27日にえびはら武司「藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道 名作秘話編」が発売されました。
2015年に発売された「藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道」の続編。
前巻は主に藤子スタジオ内での出来事や、藤子不二雄先生との思い出などが描かれておりましたが、
今巻では、「ドラえもん」や「魔太郎がくる!」などの名作誕生ウラ話を中心に描いた内容となっております。
約1年前に書いた前巻の感想はこちら。→【ドラえもん本レビューその49】藤子スタジオアシスタント日記 まいっちんぐマンガ道
この漫画に出てくるエピソードはあくまでもえびはら先生の記憶を元に描いているため、
もしかしたら事実と違っているかもしれませんし、中には「そんな話誰でも知ってるよ!」というようなエピソードもあったりします。
しかし、「藤子先生の元アシスタント」という経験から描かれる製作秘話の数々には、当人でしか知りえなかった情報も含まれていたりと、最後まで楽しく読むことが出来ました。
例えば、名作「のび太の恐竜」にあったありえないミス!
熱烈な藤子ファンから「1980年当時にバランス釜はおかしい」との真っ当な指摘が入った!
誰だこんな時代錯誤なモノを描いたのは!
はい、えびはら先生でしたー。
さらにツッコミは続く!
「スネ夫の家は豪邸なのに玄関のブザーが庶民的すぎる」との意見!
ちょっと指摘が細かいような気もするが、確かにその通りだ!
誰だ、そんなブザーを描いたのは!
はい、えびはら先生でしたー。
さらにさらに!
「なんで運動オンチののび太君の家にバレーボールが置いてあるのか?」とのツッコミ!
全く、しつこいな君も! でも言いたい事はわかる!
誰なんだ!バレーボールなんて描いたのは!?
はい、えびはら先生でし(以下略)
まあ、このくだりで何が言いたいかというと、
えびはら先生は藤子スタジオのアシスタントとしては初期メンバーにあたるため、
「実はあの藤子作品のあのシーンの作画を担当していたのは自分です」みたいなカミングアウトがこの本にはたくさんあるので、漫画を読んでいて「えっ?」と驚かされてしまうことがしばしばありました。
さらに、ネタバレになるのであまり言えませんが「えびはら先生が原因であの名作のあのシーンが描かれた」という製作裏話もあったりするため、
この本を読んでいるうちに、何だかえびはら先生が藤子作品の歴史改変をするタイムトラベラーのように見えてきました。
そしてこの本を読んでいて一番気になったのが「えびはら先生のせいで『バケルくん』が終わってしまったかもしれない」というカミングアウト。
当時ドラえもんも連載中だった藤本先生に「新連載(バケルくん)」の設定を一任されたえびはら先生だったのですが・・・。
もしも、えびはら先生があの時アレでコレしていたら、バケルくんがドラえもんのポジションになっていたかもという可能性があったわけですね。
やっぱりえびはら先生は藤子作品の歴史改変専門のタイムトラベラーだ!
そんなわけで、藤子作品に詳しい人も詳しくない人も十分に楽しめる一冊だと思います。
巻末に載っている著名人お祝いイラストの人選の謎っぷりも見どころですよ。
そして個人的には、そろそろえびはら先生による「まいっちんぐマチコ先生の製作裏話」も読んでみたいです。
ウィキペディアを見ただけでも、実にマンガ映えしそうなエピソードがいっぱいあると思うんですがねえ。
最後に、やたら漫画の設定にこだわる人が現われた時に使えそうな藤本先生の言葉を貼って終わりにしたいと思います。
マンガは楽しんで読もう!