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藤子不二雄Ⓐ「トキワ荘青春日記 1954-60」 を読みました。

昨年12月に復刊ドットコムから発売されたトキワ荘青春日記 1954-60」 を読みました。

トキワ荘青春日記

トキワ荘青春日記

 

読了自体は昨年末のうちに済ませていたのですが、記事にするのが遅くなって今頃の感想になってしまいました。申し訳ないです。

 

これまでに2回も単行本として発売されており、今回は何と20年ぶりの復刊となるそうな。

自分も前からこの本の存在自体は知ってたのですが、古書店とかだと結構なお値段するので手が出せなかったんですよねえ。

この本も、カッパ・ノベルズ版に載っていたらしい手塚治虫先生や寺田ヒロオ先生達との対談が大人の事情か何かで収録されていなかったり、価格も2000円と決して安くは無いお値段なのですが、

たった8年前に復刊されたばかりの「二人で少年漫画ばかり描いてきた」もすっかり高くなっちゃったことを考えると、まだ読めるうちに手に入れちゃったほうがいいかと思いまして。はい。

 

でも、実際に読んでみたら2000円払っても悔いが残らないくらい面白かったです。

まんが道」でしか知らなかった安孫子先生のトキワ荘での毎日が先生自らが書く「日記」によって淡々と描かれており、とても興味深く読むことができました。

その「日記」も、書いていた当時は自分の身の回りで起きた出来事をただ何も考えずに書いてただけだったのかもしれませんが、

それから50年以上経った現在となっては、天覧試合をラジオで聞いていた話やその当時公開されていた映画の感想など、今では当時の昭和史を語る貴重な文献と化しているのもまたすごい話です。

藤子不二雄先生やトキワ荘のことをあまり知らないって方がこの本を読んでも、充分楽しめるのではないでしょうか。

 

さらに読んで思ったのが、「まんが道」はやっぱり漫画作品としていくらか誇張して描かれているんだなという点。

この本には、富山県に帰省して原稿落とした事件や学童社の倒産、それからの復活など「まんが道」ではそれこそ漫画家人生の破滅ぐらいに描かれていた出来事があったりするのですが、この日記で読んだ感じではそれほど深刻じゃないような印象を受けました。

むしろ、作品では描かれていないエピソード「藤本氏だけ先に富山から帰らせて様子を見に行かせたら、トキワ荘の部屋のカギを渡し忘れていた話」で少し笑ってしまった。

もちろん、日記では明るく書いているだけで、実際漫画家人生の破滅には変わりなかったのかもしれないけど。

あと「まんが道」を読んでいて、藤子先生は前述の原稿落とし事件以降、締め切りは毎回キチンと守っているイメージだったのに、この本の中に「担当さんに電話して締め切り伸ばしてもらう」みたいな描写がけっこう頻繁に書かれてたことにちょっと凹んだ。

藤子先生もやっぱり人間なんですなあ。

 

話を戻しますと、「まんが道」はあくまでも現実の出来事に限りなく近いフィクション作品てことなんですよね。

昨年5月に富山県高岡の定塚ギャラリーで「霧野涼子のモデルになった方」の写真を見せてもらった際に、

うっかり「ああ、この人死んじゃったんですよね」と口走ってしまい、えらく恥をかいてしまった事を思い出してしまった。あの時は本当にすいませんでした。(※モデルになった方は現在もご存命だそうです。)

 

とはいえ、この本に出てくる登場人物たちやトキワ荘の雰囲気はみんな「まんが道」のイメージのままだったのでそこは安心。 あの頃のトキワ荘は「まんが道」のイメージのままです。

さらに「まんが道」では描かれなかった普段の安孫子先生の様子も知れたりできるのは、本当にいい。漫画家仲間と野球やマージャンやったりとなかなか楽しそうな毎日を送っていましたよ。

いやあ、本当にこの本買ってよかったです。

 

普段は藤子・F・不二雄作品の記事ばかりになってしまいがちなこのブログですが、

今年は「NEW笑ゥせぇるすまん」の放送もありますし、藤子不二雄Ⓐ作品に関する記事も多く書けたらいいなと思っております。

 

 

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ちなみに58年前の今日、1959年の1月18日はつのだじろう先生がトキワ荘の仲間たちで行ったスキー旅行で左足首を捻挫してしまった日だそうです。

トキワ荘青春日記」にはこういうよくわからない出来事も活字としてしっかりと残っているぞ!

買おう!トキワ荘青春日記!

 

トキワ荘実録―手塚治虫と漫画家たちの青春 (小学館文庫)

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トキワ荘最後の住人の記録: 若きマンガ家たちの青春物語

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