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【ドラえもん本レビューその56】声に恋して 声優 (小学館文庫)/著:小原乃梨子

声に恋して 声優 (小学館文庫)

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出版社:小学館

発行日:1999年4月1日

価格:495円(税抜)

全258頁

 

1996年に双葉社から発売された「声に恋して 洋画とアニメと私自身と」の文庫版。

文庫版には、前述の「声に恋して~」の推薦文を書かれた直後に急逝した藤子・F・不二雄先生への感謝の意を述べた「序にかえて」という文章が掲載されています。

 

小原さんが長年の声優人生の中で体験した吹き替え黎明期の頃のエピソードや、これまでに吹き替えを演じた往年の名女優さん達に対しての思い出が語られています。

当時、小原さんが吹き替えの持ち役としていたブリジット・バルドーとクラウディア・カルデナーレが共演する「華麗なる対決」を映画館で見てしまい、「あら、どうしよう!」とつぶやいてしまった話が好きです。

 

「あなただけ今晩は」「ライアンの娘」は午前十時の映画祭で上映された時に観に行っていて、2作品とも本当に面白い映画だと思ったのですが、

残念なことに字幕上映だったので肝心の小原さんの声は一切入ってなかったんですよねぇ。今度見直さないと。

 

そして「未来少年コナン」のコナン、「ヤッターマン」のドロンジョ様などのアニメのお仕事についてのお話も。

メガネくん役の「ハリスの旋風」を自分の中での忘れられない大切な作品に挙げていたり、

急性声帯炎を押して「未来少年コナン(劇場版)」に出演。炎症で10日間声が出なくなってしまうほどの演技をしたにも拘らず、「宮崎氏独特の”香気”が消えていて、悲しかった」と作品の出来に残念がる様子も。

もちろん小原さんの代表作であるドラえもんのお話も、藤子先生の思い出も交えながらかなりのページを割かれて語られております。他の出演陣を褒め称える小原さん、本当にいい人。

 

 

さらに、仕事と子育ての両立に苦労する小原さんの私生活も語られており、

多忙によって息子と触れ合える時間の取れない辛さ、嫁姑問題、成長した息子の反抗期、姑さんの介護そして他界・・・。

芸能界以外での全国で行っている詩の朗読会や講演、セミナーなどで得た貴重な経験なども書かれているなど、小原さんの声優業に対する思いと共に、自らの半生を語った自伝的な内容にもなっています。

 

 

現在でも朗読会の講演を精力的に行っていたり、昨年放送された「ドラえもん、母になる〜大山のぶ代物語〜」への出演や、

夜ノヤッターマン」「第66回NHK紅白歌合戦」での声の出演などの活躍も多い小原乃梨子さん。

今年10月から始まる「タイムボカン24(トゥエンティ―フォー)」にも小原さんの出番があったら嬉しいんですけどねぇ。いつまでもお元気でいてくださいね。

 

ちなみにこの本の中で反抗期を迎えていた息子さんも、現在では立派なベテランアニメーターさんとなっており、

ここ最近の映画ドラえもんにもスタッフとして登場。今年の「ドラえもん 新・のび太の日本誕生」にも原画で参加されています。

親子二代でアニメ「ドラえもん」の作品に携わっているわけですね。ドラえもんちょっといい話。

 

声に恋して 声優 (小学館文庫)

声に恋して 声優 (小学館文庫)

  
声に恋して―洋画とアニメと私自身と

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